研究課題/領域番号 |
12J08406
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山本 純 徳島大学, 薬科学教育部, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 刺激応答型アミノ酸 / タンパク質精製 / タンパク質ラベル化 / 標的タンパク質 / アビジン-ビオチン / クリックケミストリー / リンカー |
研究概要 |
本研究では、プロテオーム中にある標的タンパク質の高効率的精製および選択的ラベル化を可能とするトレーサブルリンカーの開発を目的とする。トレーサブルリンカーとは、任意の条件下で切断され、その結果生じる官能基を足がかりとして再び機能性ユニットの導入が可能なリンカーと定義する。本研究で開発予定のトセーサブルリンカーは、申請者が開発したフッ化物イォンに応答してアミド結合切断を誘起する人工アミノ酸を利用することにより、フッ化物イオン処理による切断が可能である。さらに、リンカー切断後にアミノオキシ基が再生するよう設計することにより、アルデヒド含有ラベル化試薬の選択的導入が可能となる。 本研究は、酵母由来エノラーゼのシステイン残基を既知法に従ってアルキニル化したものをモデルタンパク質として用い、以下の手順に従って進めることとした。1)トレーサブルリンカーとのクリックケミストリーによりエノラーゼをビオチン化する。2)ビオチン化エノラーゼをアビジンカラムへの吸着により濃縮する。3)フッ化物イオン処理によるトレーサブルリンカーの切断に伴いエノラーゼを溶出させる。4)溶出エノラーゼを選択的に蛍光ラベル化する。 申請者は今年度、上記手順1~3について検討を行なった。この結果、トレーサブルリンカーによるエノラーゼの精製に成功した。しかし、トレーサブルリンカーの導入効率およびアビジンビーズからの溶出効率が低かったため、現在最適化を行なっているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トレーサブルリンカーの開発におけるモデル実験として、アルキニル化エノラーゼを用いる実験系を確立しつつあるため、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。具体的には、トレーサブルリンカーのアルキニル化エノラーゼへの導入、アビジンビーズによるエノラーゼの濃縮、およびフッ化物イオン処理によるエノラーゼの溶出を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
現状、トレーサブルリンカーのアルキニル化エノラーゼへの導入効率、およびアビジンビーズからのエノラーゼの溶出効率が低いという問題が生じている。申請者は、新たなトレーサブルリンカーを設計し、これらの問題点を解決することを、本研究の今後の推進方策としている。
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