研究概要 |
下部マントルの主要構成物質であるシリケイトペロフスカイトやフェロペリクレース中の原子の拡散速度を下部マントルの最下部条件下まで実験的に決定し、その結果から沈む込むスラブや上昇するプリュームを含むマントルにおける粘性プロファイルを構築することを目的とし研究を行った。今年度は特にシリケイトペロフスカイト中のケイ素の拡散係を, 50から70万気圧, 1700℃の圧力温度条件下で決定することを目標に研究を遂行した。高圧発生装置は、6軸型高圧発生装置(6-UHP)を使用し、アンビル材には焼結ダイヤモンドアンビルを使用した。試料に加わっている圧力は、初年度に作成した圧力校正曲線に基づき6-UHPの油圧から推定した。圧力媒体にはCrをドープしたMgOを使用し, 電極にはレニウムを使用した。ヒーター材にはLaCrO_3を使用し、ヒーターの中心部に熱電対を配置し温度を測定した。出発物質には、^<29>Siに富むSiO_2薄膜を蒸着したシリケイトペロフスカイトを用いた。6-UHPを用いて拡散実験を行ったが、現状では加圧中や加熱中に試料の吹き出し(ブローアウト)が発生してしまい、目的の圧力温度条件下において拡散アニーリングを行えていない。そこで高圧実験の試料部構成の改良や、ガスケットサイズの変更等の最適化を行っている。また、実験と併行しこれまでの研究成果の論文執筆作業を行い、今年度は第一著者論文として計3本の論文が国際誌に受理された。
|