研究課題/領域番号 |
12J08563
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
富松 航祐 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 特別研究員(PD)
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キーワード | マルチカラーレポーター / インテグレース / ヒト人工染色体 |
研究概要 |
本研究では多色の発光と蛍光を用いて、性質の変化した細胞を追跡する新規レポーターシステムを構築する。多色にすることで細胞毎の性質の違いを細かに分類し、それら細胞同士の複雑な関連性をin vitro, in vivo問わずイメージングする。初年度である平成24年度はこのレポーターシステムのコンストラクションと動作性確認を軸に研究を進めた。 まず発光と蛍光を用いたレポーティングベクターの構築を行った。インテグレース特異的に認織される2つのattachment配列を発光遺伝子の両末端に付加し、CAGプロモーターの下流に繋いだ。さらに発光遺伝子の下流に蛍光遺伝子を繋げ、インテグレースを介した組換えによって削除された発光遺伝子に変わって蛍光遺伝子がプロモーターにドライブされるよう設計を行った。このシステムに3色の発光遺伝子と3色の蛍光遺伝子を組み合わせてそれぞれのベクターを作成した。これらのベクターと、インテグレース発現ベクターをCHO細胞にコトランスフェクションを行った。その結果対応するインテグレース発現によって蛍光を示す細胞が示された事から、単色でのシステムは稼働する事が確認された。平行して、それぞれのレポーターベクターはP1-artificial chromosome (PAC)にタンデムに組換えを行って一つのベクターとしてまとめた(pPAC-Rainbow)。それぞれのカセットの間には、転写干渉を防ぐためのインスレーター配列を挿入した。このベクターも同様にCHO細胞へインテグレース発現ベクターとコトランスフェクションし、インテグレースの組み合わせによって発現する蛍光タンパク質が変化する事を確認した。本システムはマウス人工染色体へ搭載を行い、同様に動作確認を行った。その結果、発現させるインテグレースのパターンを変える事によって遺伝子発現パターンをコントロールする事が可能である事が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度の研究計画では、レインボーレポーターシステムの遺伝子作成を行うことであった。結果は、インテグレースシステムによって3組の発光から蛍光に切り替わるベクターを作成し、人工染色体へ搭載が完了した為、計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本システムを動かす為の発現ベクターをCHO細胞内にある人工染色体に搭載を行った。この人工染色体はES細胞へ移す際にCHO細胞からであると大変効率が低く、目的のES細胞を取得する事が困難になる事が予想される。これまでの所属機関の研究より、CHO細胞からA9細胞を介してES細胞へ人工染色体を移す事で効率が飛躍的に高まる事が確認されているため、今後の研究を遂行する上で上記手法を使用する事を考えている。
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