研究課題/領域番号 |
12J08677
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金子 洸太 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 胆管 / 幹細胞 / 肝臓 / 再生 / ホメオスタシス / 組織構造 / イメージング |
研究概要 |
多細胞からなる生物がその生体を維持するには、新陳代謝や障害により失われた部分を適切に回復する必要がある。肝臓は解毒を担う器官であるため、それ自身が種々の毒により様々な障害を受けやすいが、それに対して自身の組織を回復させ維持する能力が高い。本研究は、この肝臓を解析することで、生物が組織を回復・維持する仕組みの解明を目指している。 本研究により、肝臓はその中の幹細胞を含む管である胆管を柔軟に変形させることで、多様な障害に対応しながら組織を回復していることが分かってきている。本研究は、新規可視化法を用いて以下の三つの点について行っている。1、肝障害時に胆管の動態の制御に関わるシグナル因子の同定・機能解析2、これらシグナル因子を発現する各種細胞の数や位置関係、発現量の変動の解析3、組織の三次元構造と幹細胞の機能の関係の解析および、それに必要なイメージング技術の改良。 本年度は以下の成果を得た。 1、FGF7が胆管の枝分かれに働くことが分かった。さらに、胆管の動態に関わる別の因子は異なる作用を持つことが明らかとなった。これらのことと、FGF7KOマウスの解析結果から、胆管が多様に変形するには異なる機能をもつ複数の因子の組み合わせが重要であることが示唆された。 2、各種の異なる障害について、胆管に作用する因子を発現すると予想される各種細胞の異なる動態を観察した。 3、幹細胞マーカー陽性の細胞が、障害部位付近に管を伸ばした胆管中に存在することを見いだした。さらに技術面においても大きく進捗し、以前に開発したホールマウント染色法に改良を加えることで、組織構造を保ったまま、肝臓まるごとを高いSN比で染色可能とした。また、インクによる可視化法とLacZ染色の組み合わせを可能にするなど、胆管の動態解析に必須の技術を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
胆管の動態に関わる因子について複数を解析した。幹細胞マーカーの解析は計画を大きく進めるものであった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、概要に記した3つの点について研究を進める。 また、本年度に新たに着眼した幹細胞マーカーについて、その分子の詳細な解析も追加して行う。
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