研究課題/領域番号 |
12J08684
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
角井 誠 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 映画 / 演技 / フランス映画 / 情動 / 映画と演劇 / 映画俳優 / 表象文化論 |
研究概要 |
本研究の目的は、フランス映画における演技論、演出術の展開を検討することを通じて、映画における演技や演出の特性を明らかにするとともに、その多様性を描き出すことを目的としている。そうした企図実現のための基礎的な作業として、本年度はまず、フランス国立図書館、シネマテーク・フランセーズ映画図書館、カリフォルニア大学ロサンゼルス校リサーチ・ライブラリーにおいて、フランスの映画雑誌、映画作家の書簡、作品の製作資料などの調査を遂行し、代表的な演出家の演技論や個別作品の生成過程について資料の収集を行った。本年度の具体的な成果としては、ジャン・ルノワールの演技論を、舞台演出家のルイ・ジュヴェやヌーヴェル・ヴァーグの映画作家エリック・ロメールのそれと比較研究することを通じて、映画と演劇における演技論の関わりを再考するとともに、個々の演出家の演技論の特性を浮かび上がらせる作業を行った。とくにルノワールとジュヴェの比較においては、テクスト朗読というメソッドのメカニズムをダニエル・スターンの情動理論を用いて読み解くことで、両者の演技論における情動の働きを明らかにすることができた。来年度は、収集した資料の分析を進め、一層広い視野からフランス映画の演技論について考察を加えてゆきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記したとおり、フランス国立図書館、シネマテーク・フランセーズ映画図書館、さらにはカリフォルニア大学ロサンゼルス校において資料収集を行うことができた。またエプシュテイン、バロンセリ、ルノワールなどサイレント時代からトーキー時代の映画作家の演技論について調査を行い、その一部を公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本年度に収集した資料の読解を進め、サイレント時代およびトーキー初期の演技論についても成果を発表してゆきたいと考えている。
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