研究課題/領域番号 |
12J08684
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
角井 誠 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
|
キーワード | 映画 / 演技 / 演技指導 / 俳優 / フランス映画 / ハリウッド映画 / 表象文化論 |
研究概要 |
本研究の目的は、フランス映画における演技論、演出術の展開を検討することを通じて、映画における演技や演出の特性を明らかにするとともに、その多様性を描き出すことを目的としている。本年度は、研究計画書に書いた通り、主に1930年代から1940年代のフランス映画について資料収集、作品分析、文献講読を行った。トーキー化に伴う映画製作環境の変化を視野に収めつつ、新たに付け加わった声の演出、舞台やミュージックホール出身の俳優の台頭とそれに対する監督の対応といった問題を検討していった。フランス国立図書館やシネマテーク・フランセーズでの資料調査(製作資料、シナリオ、映画雑誌などの調査)も行うことができた。 本年度の具体的な成果としては、昨年度の調査成果をもとに、学会発表および論文投稿を行った。まず日本映像学会第39回大会発表において、ジャン・ルノワールのハリウッド第一作『スワンプ・ウォーター』を対象に、ルノワールとハリウッドのスタジオとの俳優演出をめぐる齟齬を分析した。産業化されたタジオでの演出との対比から、ルノワールの演出における手仕事的な「フランス的」特質を浮かび上がらせることができた。また同発表を発展させて論文を執筆、同学会の学会誌『映像学』に投稿し、掲載された。さらに、同学会からの依頼によりレイモン・ベルールの大著『映画の身体』の書評論文を執筆し、身体や情動(これらはもちろん俳優の問題と大いに関わる)をめぐるフランス映画論の最近の成果を紹介するとともに、その意義について論じることも行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記したとおり、1930年代から1940年代のフランス映画について資料収集、文献講読を行うことができた。また昨年度の調査成果に基づき学会発表、論文投稿することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は、これまでに収集した資料の読解を進め、トーキー時代、第二次大戦後のフランス映画における演技論について成果を発表してゆきたいと考えている。
|