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2012 年度 実績報告書

脳内出血治療を指向したレチノイド受容体リガンドの薬効解析

研究課題

研究課題/領域番号 12J08698
研究機関熊本大学

研究代表者

松下 英明  熊本大学, 薬学教育部, 特別研究員(DC2)

キーワード脳内出血 / デキサメタゾン / レチノイド受容体作動薬 / 致死率 / 運動機能障害 / 炎症反応
研究概要

1.コラゲナーゼ微量注入によるマウス脳内出血モデルを用いて、有効薬物のスクリーニングを行った。
抗炎症薬であるデキサメタゾン(1mg/kg)は脳内出血惹起2時間後より1日1回腹腔内投与する事で脳内出血によるマウスの致死率を抑制した。しかしながら、脳内出血に伴う運動機能障害は改善されなかった。同様に、抗酸化薬であるエダラボン(3mg/kg)は脳内出血惹起3時間後より1日1回静脈内投与する事で脳内出血によるマウスの致死率を抑制した。しかしながら、脳内出血に伴う運動機能障害は改善されなかった。一方、レチノイド受容体作動薬であるAm80(5mg/kg)は脳内出血惹起2時間後より1日1回経口投与する事で運動機能障害を改善した。しかしながら、脳内出血に伴う致死率は改善されなかった。免疫抑制剤であるシクロスポリンA(10mg/kg)やNMDA受容体阻害薬MK801(1mg/kg)や浸透圧調節薬の濃グリセリン(200μg/25g)は脳内出血に伴うマウスの致死率及び運動機能障害を改善しなかった。これらの結果から、デキサメタゾンおよびエダラボンが脳内出血に伴う致死率を改善する薬物であること、レチノイド受容体作動薬Am80が運動機能障害を改善する薬物である事が示唆された。
2.脳内出血に伴う急性期炎症反応について検討を行った。IL-1β等の諸種サイトカイン・ケモカイン類の発現変化を経時間的に検討したところ、脳内出血後6時間で発現ピークに達する事を見出した。さらに、それらの発現変化に対するデキサメタゾンおよびAm80の作用を検討したところ、脳内出血惹起6時間後におけるデキサメタゾンはIL-1β,TNFα,IL-6の発現を抑制し、Am80はIL-1β,IL-6,CXCL2の発現を抑制した。一方で、デキサメタゾン及びAm80は脳内出血24時間後おけるこれらのサイトカインの発現を抑制しなかった。これらの結果から、デキサメタゾンとAm80は脳内出血急性期の炎症反応に対して異なる作用を示す事が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脳内出血モデルマウスを用いて薬物スクリーニングを行う事で、レチノイド受容体作動薬とは異なる2種類の有効薬物を見出す事が出来た。さらに、作用機序を検討した結果、レチノイド受容体作動薬とは異なる作用機序を有している事を見出した。しかしながら、レチノイド受容体のサブタイプに着目した検討が進展していない。

今後の研究の推進方策

1,デキサメタゾン及びAm80の炎症反応に対する作用の違いから作用機序を検討する。IL-1β,TNFα,IL-6,CXCL2の各種阻害剤を用いて脳内出血モデルマウスの致死率および運動機能障害に対する作用を検討する。
2,レチノイド受容体のサブタイプに着目し、出血障害後のレチノイド受容体サブタイプの発現レベルの変化を調べ、各サブタイプの発現細胞種を同定する。
3,上記の結果を踏まえ、内包障害の制御におけるレチノイド受容体の役割を明らかにするために、軸索障害の程度を免疫組織化学的に評価し、詳細な作用機序に関しては初代培養神経を用いて検討を行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] レチノイド受容体作動薬の脳内出血モデルマウスに対する作用解析の論文2012

    • 著者名/発表者名
      松下 英明
    • 雑誌名

      European Journal of Pharmacology

      巻: 683 ページ: 125-131

  • [雑誌論文] ニコチン受容体作動薬の脳内出血モデルマウスに対する作用解析の論文2012

    • 著者名/発表者名
      肱岡 雅宣
    • 雑誌名

      Neuroscience

      巻: 222 ページ: 10-19

  • [学会発表] 脳内出血における炎症反応に対するレチノイド受容体作動薬の作用の発表2013

    • 著者名/発表者名
      松下 英明
    • 学会等名
      第86回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      20130300

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公開日: 2014-07-16  

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