報告者は平成26年度、主としてドイツおよび他のヨーロッパ各国の社会経済政策の展開、2002年以降のアクティベーション政策について検討した。一方で、EUによる欧州雇用戦略については、いったん中心的な検証対象から外すこととした。その理由としては、欧州雇用戦略が近年の推移としてはマージナルな影響しか持たなくなってきたことが博士課程の最初の2年で明らかとなってきたことがある。逆に、社会経済政策の趨勢としてはアクティベーション政策が支配的になっていることから、他国の動向との比較を通じてドイツの政策実践の特徴を相対化させるため、広くヨーロッパ各国での実践に関する研究のレビューをすることに従事した。 また、2月にはドイツ・オルデンブルク大学のM. Heidenreich教授と、同教授の受け持ついくつかの研究プロジェクトの研究員らと議論を重ねることにより、今後の研究の展開について具体的な展望を持つことができた。さらに、3月には平成26年度の研究のまとめとして、ハレ大学で開かれたセミナーで“Entwicklung der Aktivierungspolitik in Europa: Konvergenz zu einem Modell?“(「ヨーロッパにおけるアクティベーション政策の展開:1つのモデルへの収斂?」)と題して研究発表をし、アクティベーションを目指すという方向性では共通した傾向がヨーロッパ(西ヨーロッパ)にはあり、それがしばしば新自由主義的であるものが多いものの、そのアクティベーション政策の内容を検証すると依然として差異が見られるという点を指摘した。この成果はワーキングペーパーの形で発表する予定である。 なお、冒頭に述べたようにEUの影響はマージナルではあるが、全くないわけでないため、最終的には統合的に研究をまとめることで、平成24~25年度の研究も生かしていくつもりである。
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