• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

Discorhabdin類の合成研究

研究課題

研究課題/領域番号 12J08741
研究機関東京大学

研究代表者

落合 秀紀  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードパラジウム / 芳香族ダブルアミノ化 / Heck反応 / スピロジエノン
研究概要

銅を用いた芳香族ダブルアミノ化反応は困難をきわめたため、配位子により錯体の安定化が期待できるパラジウムを用いたBuckwald-Hartwing反応によるアミノ化反応を検討した。すなわち2つの側鎖を有するジブロモベンゼンに対し、触媒量のテトラキストリフェニルポスフィンパラジウムを塩基存在下加熱したところ、予想通りダブルアミノ化反応が円滑に進行し、所望の三環性骨格を定量的に与えることに成功した。これによりピロロイミノキノン骨格合成に必要なユニットを一挙に簡便に合成することができることをしめした。ここからベンジル基の除去ならびに2段階の酸化を経ることでピロロイミノキノン骨格へと導いた。これに対しジブロモチラミンの付加脱離ならびにメトキシカルボニル基の除去を行い、北らの報告する重要中間体を合成した。すなわちDiscorhabdinCの形式全合成を達成した。これにより、福山インドール合成を基軸とした第1世代合成の工程数を大幅に削減する合成ルートの確立に成功した。
しかしながら、本合成ルートでは合成の最終段階でスピロジエノン環を合成する際、北らの方法を踏襲しているため新規性に乏しく、また低収率かつ再現性に乏しいことから実用的観点からも満足いくものではなかった。そこで、効率的なスピロジエノン環の構築を目指し更なる検討を行うこととした。具体的には天然物合成において信頼性が高く汎用されるHeck反応に着目し、これを実現した。またこれまでに培った化合物の挙動に関する知見をいかし、合成ルートの抜本的な見直しを行った。市販の7-メトキシインドールから得られるフェノールを亜硝酸イソアミルでジニトロ化し、その生成物を酸性条件下水素添加反応の条件に付すことで2つのニトロ基を還元し、そのままラクタム形成を行うことで2つのニトロ基を差別化した。ここから、3段階の変換を経て環化前駆体へと導いた。これに対しパラジウム触媒を作用させたところ、所望のHeck反応が円滑に進行し、目的のスピロ骨格を高収率で合成することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画であった銅によるダブルアミノ化は困難であったが、それをパラジウムに代用することで、触媒化を実現し、必要骨格を簡便に合成できるようになった。

今後の研究の推進方策

今後、改良された合成ルートに従ってDiscorhabdin Cの効率的な全合成を達成する予定である。
その際、スピロジエノンに対してのジブロモ化が立体障害の観点から困難となることが予想される。
そこで、スピロジエノンの反応性を上げるべく、還元を行い、ジアリルアルコールとすることや、骨格自体の安定性を向上させるべく、保護基の検討を行う計画である。

URL: 

公開日: 2014-07-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi