本研究課題は非共有結合ネットワークによって形成されるハイドロゲル(仮留め型アクアマテリアル)に光を照射して。ネットワークを共有結合型(本留め型アクアマテリアル)に変換し、構成成分が水でありながら「強靱でプラスチックの代替として利用できる究極の環境低負荷アクアマテリアル」を開拓することを目的としてスタートしたが、その研究を進めていく中で、当初の予定では想像し得なかった現象に遭遇し、その現象を突き詰めていくことで大変興味深い研究結果をまとめることに成功した。 一年目には当初のコンセプトであるハイドロゲル形成に必須となる、仮留め→本留め可能な接着インターフェイスの開発を行った。その結果、予定通りその接着分子の開発に成功し、その分子が生体分子モータのひとつであるキネシンの滑り運動を阻害する分子として機能することを見いだした。 二年目の研究においては、1年目の成果を基盤として研究の展開を行った。その過程において接着分子とチューブリンという集合性タンパク質を混合することで、ベシクル状構造体が作成できることを偶然見出した。その発見を深めていった結果、そのチューブリンベシクルが生体シグナルの一つであるGTPに応答するドラックデリバリーシステム(DDS)のキャリーとして利用できることを見出した。 最終年度の研究においては、二年目に発見した現象を研究成果として論文にまとめ、投稿する準備を進めた。
|