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2012 年度 実績報告書

H(2s)生成断面積測定で探る多電子励起分子の崩壊ダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 12J08823
研究機関東京工業大学

研究代表者

熊谷 嘉晃  東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC2)

キーワード原子分子 / 放射光 / 多電子励起分子 / 光励起 / 中性解離 / 準安定水素原子 / 飛行時間測定 / 真空紫外光
研究概要

本研究は分子多電子励起状態ダイナミクスの解明を目指し、光励起に伴う水素分子の準安定水素原子(H(2s))生成断面積を入射光子エネルギー、H(2s)放出方向、H(2s)運動エネルギーの三変数関数として測定すること、およびその測定手法の確立を目的としている。分子多電子励起状態は重要な研究対象であるが、観測の困難さから実験データは十分とは言えない。目的としている断面積は二電子励起水素分子の配向および中性解離後の終状態を同定した上で得られるものであり、分子多電子励起状態ダイナミクスを解明する上で有益なデータになると期待されている。
この断面積を測定するためには、光解離生成するH(2s)の運動エネルギーを分析しなければならない。中性原子であるH(2s)の運動エネルギー分析には飛行時間(TOF)測定法が最も適しているが、真空紫外光を用いた中性解離原子のTOF測定法は確立されておらず、まずはTOF測定法の開発を行う必要があった。
(1)飛行管内部に作った電磁場を最適化することにより、ノイズの原因となる、水素分子光イオン化に伴い生成する荷電粒子の除去に成功した。
(2)高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所・放射光科学研究施設(KEK-PF)のビームラインBL-20Aにおいて、シングルバンチ(SB)モードから得られる単パルス放射光を用いて、初めて水素分子光解離により生じるH(2s)のTOF測定に成功した。
平成24年度からKEK-PFでは、SBモードに代わってハイブリッド(HB)モードが実施され始めた。HBモードは単パルス光と連続光が交互に来るモードである。H(2s)TOF測定のためには、入射光を単パルス光にする必要がある。
(3)連続光が到達するタイミングでH(2s)生成領域に強電場をかけ、H(2s)をクエンチし、擬似的にHBモードにおいて入射光を単パルス光化する方法を試みた。しかしながら十分な信号を得ることは難しく、ハイブリッドモードにおけるH(2s)飛行時間測定は困難であること明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初の研究計画はKEK-PFのシングルバンチモードにおいて得られる単パルス放射光を用いる予定であった。しかしながらシングルバンチモードに代わりハイブリッドモードが実施されたため、ハイブリッドモードから得られる放射光から、単パルス光のみを入射光として使う工夫が必要になり、大幅に計画が遅れている。

今後の研究の推進方策

研究期間内にハイブリッドモードにおける準安定水素原子(H(2s))飛行時間測定を確立するのは困難であり、入射光子エネルギー、H(2s)放出方向、H(2s)運動エネルギーの三変数関数として光励起に伴う水素分子のH(2s)生成断面積を測定することは難しい。しかしながら、光励起に伴うH(2s)生成断面積を入射光子エネルギーとH(2s)放出方向の二変数関数として測定する手法は既に確立している。今後は、この手法を用いて、水素原子を含んだ多原子分子、例えば水やアセチレンなどの炭化水素の断面積測定を行い、化学的に重要度の高い分子について、その多電子起状態を探索し、それらのダイナミクスの解明を目指す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] SBモードを利用した準安定原子検出による分子二電子励起状態ダイナミクスの研究2013

    • 著者名/発表者名
      熊谷嘉晃
    • 学会等名
      物構研サイエンスフェスタ
    • 発表場所
      つくば国際会議場エポカル
    • 年月日
      2013-03-14

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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