研究課題
静電誘導給電法を用いた微細放電加工では、パルス電圧を生じさせるパルス電源を給電容量を介して工具電極に容量結合する。本加工法では、給電容量を小さくすることで放電エネルギーを容易に小さくできる。そこで、本研究では工具電極への容量結合を、工具電極とグラウンド間で形成される微小な浮遊容量により行う方法を提案した。本方法を用いることで、微小な放電エネルギーが得られ、直径1μm以下の放電痕径が得られた。その結果、SUS304に対してRz0.44Fmの良好な加工面が得られた。また、微細放電加工用に開発された静電誘導給電法を、微細電解加工へ応用した。電解加工は工具電極が消耗せず、加工変質層も生じないという優れた特徴を持つ。さらに、加工面の表面粗さも放電加工に比べて一般に良好である。また、電解加工においては数十ns以下の短パルス電源を用いることで、ギャップを数μmまで小さくすることができる。静電誘導給電法を用いた微細電解加工においては、パルス電圧のオン時間に関わらず、パルス電圧の立上り、立下り時間によって電流のパルス幅を制御でき、立上り、立下り時間程度の短パルス電流が容易に得られることが、解析的、実験的に明らかとなった。従って、本加工法では、オン時間を短くする必要がある従来の微細電解加工の短パルス電源に比べ、容易に数nsの短パルス電流を得ることができる。また、直径50Fmの工具電極を用いてSUS304に対して穴加工を行い、電流のパルス幅が加工精度に及ぼす影響を調査した結果、電流を数十nsと短パルスにすることで、放電加工と同等の2μm程度のギャップで加工できた。また、放電加工よりも良好な表面粗さRz0.16μmが得られた。さらに、平均極間電圧を基にした主軸のサーボ送り制御装置を開発した。本装置により、SUS304に対して直径50Fm、深さ50μm程度の穴加工を安定して行うことに成功した。
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Key Engineering Materials
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