研究課題
これまでに細胞や動物を用いた研究で、大豆イソフラボンや核酸といった食品成分が、免疫機能や慢性疾患に対して予防効果があることを明らかにしてきた。そのため、これら食品の摂取状況や生活習慣が、ヒト集団においても同様の効果があるかを検証するために本研究を実施した。前年度に引き続き、本年度においても、徳島県に居住している20歳~60歳の成人勤労者1800名を対象とした調査を実施し、勤労者の食生活、身体活動状況、健康状態などに関する情報の蓄積を行うとともに、そのデータを活用して解析を行った。本研究は、ヘルシンキ宣言に則り、対象者の倫理・人権・個人情報保護に十分な配慮をし、徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認を受け、実施された。2013年5月~2014年3月の期間に行われた健康診断時に、大豆製品の摂取を含めた食事内容、食行動や休養・運動を含む生活習慣、アレルギー既往に関する質問票調査および、身体計測、採血を実施した。今年度までに作成されたデータセットを用いて統計解析を行った。統計解析はSPSS (version l8.0J)を使用した。大豆製品摂取頻度調査から得られた大豆イソフラボン量と各種アレルギー性疾患との関係についてロジスティック回帰分析を用いて解析を行った。解析時には、年齢、性別、喫煙習慣、飲酒習慣、BMI、アレルギー性疾患の家族歴、総エネルギー摂取量を調整因子として補正した。各大豆イソフラボン摂取量の第1四分位を対照群とし、アレルギー疾患既往の調整オッズ比を算出したところ、性・年齢調整モデルで、各大豆イソフラボンの摂取量とアトピー性皮膚炎との間に負の量・反応関係が認められた。交絡因子を調整すると、その負の関連は変化しなかった。アレルギー性疾患のうち、アレルギー性鼻炎、喘息については、アレルギー疾患との間に有意な関連は認められなかった。徳島県の勤労者において大豆イソフラボンの摂取が、アトピー性皮膚炎のリスクを下げる可能性が示唆された。
(抄録なし)
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