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2012 年度 実績報告書

グリア腫瘍化の初期段階における膜環境の関与とその分子機構のin vivoでの解明

研究課題

研究課題/領域番号 12J08954
研究機関名古屋大学

研究代表者

大川 祐樹  名古屋大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)

キーワードグリオーマ / ガングリオシド / マウスモデル
研究概要

ヒトグリオーマ組織では正常脳組織には発現していないガングリオシド(GD3、GD2)の高発現が報告されているが、それらガングリオシドの機能解析は行われていない。本年度は、RCAS/tv-aシステムを用いたグリオーママウスモデルにおけるガングリオシド(GD3、GD2)の発現解析と、その発現による表現系変化の解析を行った。Gtv-aマウス(GFAPプロモーターによりtv-a受容体が発現するトランスジェニックマウス)にRCASを用いてPDGFB遺伝子を導入して作出したグリオーマ組織では、GD3、GD2の発現は見られなかった。しかし、p53欠損Gtv-aマウス(Gtv-aマウスをp53^<-/->マウスと交配させ、Tp53遺伝子をホモ欠損しているマウス)に、PDGFB遺伝子を導入して作出したグリオーマ組織においては、腫瘍部位特異的にGD2の発現が観察された(凍結切片を用いた免疫組織染色による)。一方、P53欠損Gtv-aマウスより作製した初代培養アストロサイトにRCASを用いてPDGFB、AKT、oncogenicなKRASやβ-catenin遺伝子を導入し、GD3、GD2の発現をflow cytometerで解析したところ、PDGFB遺伝子導入時にのみ、一部の細胞群でGD3の発現が誘導された。さらにcell sorterを用いてGD3高発現とGD3低発現の細胞集団を分取し、MTT assayにて増殖能を比較したところ、GD3高発現細胞群は低発現細胞群に比べ有意に高い増殖能を有していた。またショ糖密度勾配遠心法より回収した脂質ラフト分画をウエスタンブロッティングにて解析したところ、GD3高発現細胞群ではGD3低発現細胞群に比べ、多くのPDGF受容体が脂質ラフトに局在していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画の通り、グリオーママウスモデルのグリオーマ組織において、ガングリオシド(GD3、GD2)の発現を観察している。また遺伝子改変マウスの交配も予定通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

p53欠損Gtv-aマウスにGD3合成酵素遺伝子欠損マウスを交配させ、GD3合成酵素欠損p53欠損Gtv-aマウスを作製し、PDGFB遺伝子導入におけるグリオーマ形成の時期やグリオーマの悪性度に対するGD3、GD2の関与をin vivoで明らかにする。また初代培養アストロサイトまたは初代培養グリオーマ細胞を用いて、PDGFBによるGD3発現誘導の分子メカニズムを明らかにする。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Disialyl gangliosides enhance tumor phenotypes with differential modalities.2012

    • 著者名/発表者名
      Koichi Furukawa
    • 雑誌名

      Glycqconjugate journal

      巻: 29 ページ: 579-584

    • DOI

      10.1007/s10719-012-9423-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fine tuning of cell signals by glycosylation.2012

    • 著者名/発表者名
      Koichi Furukawa
    • 雑誌名

      Journal of Biochemistry

      巻: 151 ページ: 573-578

    • DOI

      10.1093/jb/mvsO43

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Essential roles of gangliosides in the formation and maintenance of membrane microdomains in brain tissues.2012

    • 著者名/発表者名
      Yuhsuke Ohmi
    • 雑誌名

      Neurochemical Research

      巻: 37 ページ: 1185-1191

    • DOI

      10.1007/s11064-012-0764-7

    • 査読あり
  • [学会発表] ガングリオシド欠損により発現上昇するWisp2、S3-12遺伝子の神経系における機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      大川祐樹
    • 学会等名
      新学術領域研究神経糖鎖生物学第4回領域班会議
    • 発表場所
      宮崎県宮崎市青島パームビーチホテル
    • 年月日
      2013-01-16
  • [学会発表] GM3-onlyマウスの中枢神経系で高発現するPerilipin4はミクログリアに発現しリソソーム機能を亢進させる2012

    • 著者名/発表者名
      大川祐樹
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡県福岡市福岡国際会議場・マリンメッセ福岡
    • 年月日
      2012-12-15
  • [学会発表] A new function of S3-12/Perilipin4 in microglia of ganglioside mutant mouse.2012

    • 著者名/発表者名
      大川祐樹
    • 学会等名
      名古屋大学医学部グローバルCOEプログラム第4回国際シンポジウム
    • 発表場所
      愛知県名古屋市ウェスティンナゴヤキャッスル
    • 年月日
      2012-11-15
  • [学会発表] ガングリオシド欠損マウスの中枢神経系で高発現するPerilipin4の機能解析2012

    • 著者名/発表者名
      大川祐樹
    • 学会等名
      包括脳ネットワーク夏のワークショップ
    • 発表場所
      宮城県仙台市仙台国際センター
    • 年月日
      2012-07-26
  • [図書] Annual Review神経20132013

    • 著者名/発表者名
      古川鋼一
    • 総ページ数
      37-45
    • 出版者
      株式会社中外医学社

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公開日: 2014-07-16  

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