これまでにX線衛星「すざく」によって観測された約30個のX線連星パルサー(BXP)のデータを解析した。そのうちサイクロトロン共鳴吸収構造(CRSF)が検出された天体は磁場強度が正確に測ることができるので、それらを較正用に用いて、中性子星の磁場強度とX線スペクトル中折れ曲がり構造のエネルギーが相関することを示した。さらにその相関に物理的な解釈を与えることに成功し、得られた結果が妥当であることがわかった。このことからスペクトルの折れ曲がりによって磁場強度を推定することが可能となった。
磁場強度とスペクトルの折れ曲がりの関係だけでなく、磁気圧と降着ガスの圧力の釣り合い点アルフヴェン半径と中性子星スピンのケプラー回転半径との比が、折れ曲がりのエネルギーで表されることを発見した。このことから上での磁場強度推定方法に加えて、もう一つ磁場強度を推定する方法を得ることに成功した。これらの方法を磁場強度がわかっていない天体に適用し、通常のX線パルサーと超強磁場のマグネターとをつなぐ天体を探した。
本研究のテーマのひじょうに強い磁場を持つ天体として着目していた長いパルス周期を持つ天体(LPP)に上で述べた二つの推定方法を適用したところ、「すざく」衛星によってひじょうに広い帯域でのスペクトルが得られた二つの天体で磁場強度が10^13-14 Gという本研究の目的であるX線パルサーとマグネターとをつなぐ天体であることがわかった。
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