研究課題/領域番号 |
12J09028
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
犬伏 知生 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 手話 / 文法処理 / 機能的核磁気共鳴画像法 / VBM |
研究概要 |
本研究では、自然言語とそれ以外のコミュニケーション手段とを隔てる特性である階層的な文法処理能力に焦点を当て、モダリティーに依存しない真に普遍的な言語処理機構の解明を目的とする。 今年度は、日本手話に関する言語課題遂行時に活動する皮質部位を機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて同定し、音声言語との処理の相同性を検証した。測定には大人のろう者27名、子供のろう者11名が参加した。課題は会話文における文脈の誤りの有無を判断する文脈課題、文法の誤りの有無を判断する文法課題、単語の誤りの有無を判断する単語課題、及びこれらの手話文の逆再生映像の繰り返しの有無を判断する繰り返し課題の4課題とした。繰り返し課題時の脳活動をコントロールとし、文脈課題、文法課題、単語課題のそれぞれの課題時の脳活動と比較することで、刺激の物理的条件を統制した上で、文脈、文法、単語処理のそれぞれに特異的に関わる皮質部位を同定した。研究の途中結果については2012年に開催されたNeuroscience2012にて口頭発表を行った。 さらに、このような日本手話の言語的要素の処理能力と脳構造との関連について、MRIを用いた脳構造の画像解析手法であるVoxel-Based Morphometry(VBM)を用いて現在検証を行なっている。課題成績は各個人の判断のバイアスに影響されない行動指標であるd'で評価し、MRIによって得た各個人の脳のT1構造画像を組織分画して得られる灰白質体積との相関を見る。その結果については、2013年に開催されるNeuro2013での口頭発表を予定しているほか、これまでの結果を合わせて、国際紙への投稿を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに10代から60代の幅広い年齢層の先天性ろう者38名の脳活動、及び脳構造のデータの取得が完了しており、それぞれのデータ解析も順調に進んでいる。また、研究の途中結果については2012年に開催されたNeuroscience2012にて口頭発表したほか、すでに2013年に開催されるNeuro2013でも口頭発表として採択されている
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今後の研究の推進方策 |
日本手話の言語的要素の処理能力と脳構造との関連について、MRIを用いた脳構造の画像解析手法であるVbxel-Based Morphometry(VBM)を用いて検証を行なう予定である。課題成績は各個人の判断のバイアスに影響されない行動指標であるd'で評価し、MRIによって得た各個人の脳のT1構造画像を組織分画して得られる灰白質体積との相関を見る。その結果については、2013年に開催されるNeuro2013での口頭発表を予定しているほか、これまでの結果を合わせて、国際紙への投稿を準備中である。
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