研究課題
本研究では、実観測情報に基づいた高度電波環境データベースの構築手法とその活用法を確立することを目標としている。他システムの空き帯域を動的に利用する周波数共用では、米国連邦通信委員会がデジタルテレビ放送の帯域を他の無線通信システムへ開放する方針を受け、世界中で実用化に向けた検討・研究が活発化している。現在想定されている利用ルールでは、データベース情報を参照し、位置に応じた共用周波数を決定するデータベース連携型の方法が考えられている。しかしながら、このデータベースはモデル式に基づく設計であり、実環境との乖離が存在し、その差を補償するマージンが設けられている。このマージンは、周波数利用効率の低下を招く恐れがある。また、データベース情報は利用可否情報のみを収納しており、それ以上の情報を取得することはできず、より高度な利用には適応不可能である。これらの問題を解決するため、より高度な伝搬環境データベースが必要とされている。本年度は、実観測に基づいたデータベース構築の第一歩として、任意のパラメータで観測可能な観測用無線機の構築を目標として、Python言語で動作をプログラミング可能なEttu社のUniversal Software Radio Peripheral (USRP)に実装した。これらは、任意の中心周波数、観測帯域、観測時間等を指定可能な機能を実装し、Garmin社のGPSキットと連携し、観測位置と観測情報を関連させて記録する機能をした。観測は長期的に同一箇所を測定することにより面的な観測を可能とし、電波伝搬状態の空間分布を取得可能である。また、取得情報の統計処理を行い取得したGPS情報から位置に関するIDへの変換方法を検討し、面的にカバーした情報群としてデータベースに登録可能な形にする処理方法の確立を行った。合わせてデータベース情報の活用法として、既存システム(例えばテレビ放送)の信号をリアルタイムに検出するセンシング手法について、データベース情報を活用する手法へ拡張する検討を行った。
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Transactions on Emerging Telecommunications Technologies
巻: 24 ページ: 672-682
10.1002/ett.2721