研究課題
本申請研究は、①網羅分析手法と迅速データ処理システムの開発、②東京湾流域全域の河川試料の分析、③空間的汚染評価システムの構築・発展、の3つのテーマから構成される。申請研究遂行の2年度目として、①に関して初年度に開発した2次元ガスクロマトグラフィー一高分解能飛行時間型質量分析計(GCxGC-HRTOFMS)のスキャン分析データに対応する標的化合物の自動定量ツール(T-SEN)に加え、化合物グループごとに迅速自動定量を行うComSpecを開発した。T-SENについてはGCにおける標的化合物異性体の分離が不完全となる際、正確な定量が困難となるが、化合物グループとして異性体合計含有量の定量を目的とするComSpecを適用することで補足的情報を得ることが可能であると示された。この成果は7-(1)-3の通り、誌上発表されている。また、これら標的化合物用のツールに加え、非標的化合物をデータ中から抽出するツール(仮称 : DBCreator)の開発に取り組んだ。今後その成果発表を行っていく予定である。②についてGCxGC-HRTOFMSによる河川水試料分析を行っており、T-SENによるデータベース中化合物の探索・定量を行った。この非標的化合物スクリーニングにより本試料に含まれていた100種ほどの化合物のGC及びMS情報を得て、T-SEN用データベースに格納した。③について、本年度は特に網羅分析手法開発について多くの進展があったためにそちらにエフォートを注力した。汚染評価システムはGISを利用した空間情報を加味し、汚染予測結果を与えるものを想定している。検出された化合物は農薬類を中心に、工業原料・産業用途類・医薬品・化粧品類・難燃剤・燃焼由来物・天然物など多岐にわたるため、さまざまなケースでのシステムの可用性を調べることが出来ると期待される。
2: おおむね順調に進展している
網羅分析手法の開発も終え、公開体制も整えた。また、海外留学の計画も完逐し、研究の進展に重要となる知識と技術を身に付けることが出来た。以上の事から、研究計画は順調にしていると評価できる。
今後は、これまでに開発した手法を用い空間汚染評価手法の開発に取り組む。また成果発表についても行っていく予定である。
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Journal of Chromatography A
巻: 1338 ページ: 117-126
Analytica Chimica Acta
巻: 778 ページ: 54-62
http://www.nies.go.jp/db/koto/h23/koto_10.html