研究課題/領域番号 |
12J09170
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 えり 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 環境配慮行動 / 市民 / 共分散構造分析 / 心理的因子 / LCA / ワークショップ / 行動変容 |
研究概要 |
市民の環境配慮行動における心理プロセスの定量的把握を行うために57の日常的な環境配慮行動をとりあげ、心理モデルの構築を進めた。心理モデル構築として市民が環境配慮行動に至るきっかけ、また行動を妨げる阻害要因を探ることで、心理プロセスの定量的把握を行い、どのような態度と行動が結びつくのか、どの要因が重要なのかを定量的に明らかにするために、これまでに提案されてきた様々な行動の規定因についての文献を整理し、そこから規定因となりうる様々な心理的因子を取り上げ、包括的な心理モデルを個別行動ごとに構築した。57の行動それぞれについて55の心理的変数を6段階尺度で計測したアンケート結果を用い、信頼性尺度による変数の確認、既存のモデルへの適応などを試みた。しかし、モデル化は、単純で一般的なものを求めるが、それが制限ともなり、異なる行動には異なる心理的因子が影響することを表現できないと考え、探索的因子分析によって人々の心理的因子を抽出した上で、共分散構造分析によって行動に至るメカニズムをモデル化した。複雑な人間の心理を推測する第一歩として、これまでに行動との関係が報告されてきた様々な要因を包括的に含んだ一つの心理モデルを、対象とする各行動毎に構築することによって、これらの因子間の関係を明らかにすることは、実際に行動変容策を計画するうえで重要な知見となると考えられた。 また、これらのモデルを参考にした市民協働プログラムに向けて、前調査的に市民を対象とした小規模な講座を開催し、市民の環境配慮行動をLCA的観点から取り上げて紹介し、参加型ワークショップを実施した。これにより、参加者から実際のフィードバックを得るとともに、開催のノウハウや今後の改善点を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
環境配慮行動を規定する心理モデルを各行動毎に構築し、その成果の一部を取りまとめることができ、市民協働プログラムについても地域の団体と協力して取り組むことができており、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
心理モデルの複雑さや情報量の多さからモデルの構築をさらに集中的に取り組む必要性を感じている。 また、市民協働プログラムにおいては、自身が現場で開催するだけでなく、教育や政策など多様な場面や地域で活用できる知見の活かし方を模索していきたい。
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