研究課題/領域番号 |
12J09263
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
池田 裕輔 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | オイゲン・フィンク / エトムント・フッサール / 現象学 / 超越論的哲学 / 形而上学 / 世界 / 意識 / 想像 |
研究概要 |
(研究の目的と先行研究の状況) 本研究の目的はオイゲン・フィンク11905-1975)の思想を問題史的および比較思想的観点から解明することである。 フィンクの思想は、従来、フツサール(1859-1938)とハイデガー(1889-1976)の影に隠れて十分には解明されてこなかった。しかし、近年、これまで未刊であった遺稿等の一次資料が徐々に整うに従い「意識」、「反省」(フッサール)、「存在」や「現存在(人間存在)」(ハイデガー)、更には「世界」、「仮象」と「想像」、「言語」といった現象学的哲学全般に付きまとう難問を、フィンクは他の現象学者以上に自覚的かつ主題的に考察し、これらの問題に対して彼独自の解決案を提出していることが徐々に明らかになりつつある。とはいえ、基礎資料につきまとう問題から先行研究は未だ資料整理の段階を脱してはいない。このことから、1.上記のフィンク思想の主要問題群をその前史・由来と併せて体系的に解明(問題史的観点)し、2.フィンク思想の現象学運動におけ」る地位、歴史的役割と現代的意義を反省、確定(比較思想的観点)することが申請者の具体的な研究目的である。 (平成24年度の研究実績) 前年度、報告者は計画通り、フィンクにおける「意識」、「反省」、「仮象」および「言語」をめぐる問題系の内的構造の主題化、問題そのものの由来と独自性を摘出(問題史的観点)、同時に、主にフツサールの思想と対比することで、フィンク思想自身がもつ歴史的役割と現代的意義をより広いアスペクトから明確化する作業をおこなった(比較思想的観点)。これらの研究成果は、学会発表等の形式で提示した。その際に、フィンク思想の独自性は、上記の問題群および彼独自の「世界」概念を、いわゆる「意識主観」というものを前提とせずに解明することができる点に集約されることを体系的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度中に、当初の研究課題(フィンクにおける「意識」、「反省」、「仮象」および「言語」という問題系の内的構造を摘出、その歴史的役割および現代的意義の提示)の達成のみならず、平成25年度以降に研究を予定していた、フィンク独自の「世界」概念の研究を開始し、部分的にその成果を学会報告することができた。よって、本研究は、当初の計画以上に進展しているとみなすことができる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、当初の予定通り、前年度に着手されたフィンクにおける中心的主題である「世界」概念の解明を継続し、同時にフィンクの「想像」の分析の内実および問題自身の由来もしくは前史を体系的に摘出する(問題史的観点)。併せて、その独自の意義を、フッサールを中心とする現象学運動に属する他の哲学者の所見と比較することで歴史的、更に現代の議論という観点から明示化する(比較思想的観点)。よって、研究方針に変更点はない。
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