研究課題/領域番号 |
12J09295
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
君島 健之 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 光触媒 / 結晶性制御 / チタン酸カルシウム / ドーピング / コアシェル粒子 / 電子移動度 / 微粒子 / 高活性化 |
研究概要 |
光触媒の高活性化に向けて、これまで微粒子化と形態・露出面制御を行ってきた。今回の研究ではそれらに加え、金属カチオンドーピングによる結晶性向上、可視光応答性の付与を行うとともに、電子・正孔の移動度と光触媒活性の相関を明らかとすることを目的として、チタン酸カルシウム微粒子に様々な金属カチオンのドーピングと光触媒活性評価を行った。金属カチオンをドーピングすることにより結晶性を高めることは光励起した電子と正孔の再結合サイトとなる欠陥の減少や、電子の移動度の向上につながるため、反応場である触媒表面へのスムーズな電子・正孔の移動が期待でき、励起電子を有効に使えるようになると考えられる。本研究ではそこで得られた知見をもとに最終的には高活性なコアシェル型光触媒を合成する予定であり、本年度は主にSTEP2のチタン酸カルシウムに対するアルミニウムドーピングの影響およびSTEP3のチタン酸カルシウムに対する鉄ドーピングの影響に関する実験を行った。STEP2に関する結果であるが、以前の実験からチタン酸カルシウムにアルミニウム、ガリウム、亜鉛などをドーピングすると光触媒活性が向上することを発見していたので、今回はアルミニウムと亜鉛に関しドープ量の最適化およびキャラクタリゼーションを行った。その結果1mol%のアルミニウムをドープしたチタン酸カルシウムが高い光触媒活性を示すことを見出した。STEP3に関しては鉄のドーピングやそのドープ量制御には成功した、現在可視光活性を評価中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年間で4つのSTEPを行う予定である。本年度は予定通り、STEP2の実験であるチタン酸カルシウムへのアルミニウム・亜鉛のドーピングとドープ量の最適化・光触媒活性評価、STEP3の鉄のドーピングを行うことができたことから研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
STEP2とSTEP3に関し、得られた結果をまとめると同時に最も高い活性を示した粒子を用いて、STEP4のCaTi_(1-x)Al_xO_3/CaTi_(1-y)Fe_yO_3コアシェル型粒子を作成する。2回水熱合成を行い、1回目にコア粒子を作成し、2回目にシェル粒子を作成する。この際、2回目の合成における前駆体の濃度を調節することでシェルの厚さを調節し、可視光応答性を有しつつ、高い光触媒活性を示す粒子を作成する。その後、光触媒活性評価、電子の移動度の評価を行う予定である。
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