研究概要 |
三次元的に規則配列した無機ナノ粒子は,集合構造に由来する新たな機能発現の可能性がある.一方で,有機デンドロンは液晶性を有し,複数の分子の自己集合により様々な自己組織構造を形成する.本研究では,無機ナノ粒子ヘデンドロン由来の液晶性を付与することに着目し,カルボキシル基修飾した磁性体Fe3O4ナノ粒子と末端アミノ基を有するデンドロンをアミド結合形成により有機無機ハイブリッド化し,Fe3O4ナノ粒子をコアとした液晶性有機無機ハイブリッドデンドリマーの超格子構造形成および構造形成に由来する新たな機能開発を目的とした.本手法は様々な球状無機ナノ粒子に汎用的に応用できる可能性があり,超格子構造を構築するボトムアップ型テクノロジーの新手法のひとつとなるという点で大変意義深いと考えられる. 基材となるカルボキシル基修飾Fe3O4ナノ粒子は,シリカコートによるコアシェル型Fe3O4@SiO2ナノ粒子の作製とシランカップリング反応による表面カルボキシル基の導入の2つの反応を組み合わせることにより調製を行う. そこで本年度はSiO2ナノ粒子に着目し,ハイブリッドデンドリマーのコア粒径が組織構造形成および液晶性付与に与える影響を調べた.まず,粒径制御した3種類のSiO2ナノ粒子s1,S2,s3を調製した.それぞれ粒径が21,35,75nmであった.さらに,カルボキシルシランを用いたシランカップリング反応によりS1-S3のカルボキシル基修飾を行った.次いで、デンドロンとのハイブリッド化によりSiO2ナノ粒子をコアとしたハイブリッドデンドリマーG2/S1-G2/S3を合成した.TEM観察からそれぞれデンドロン修飾が行われたが,凝集構造を形成した.コア粒径が20nm以上では,粒子間ファンデルワールスカが増大し,粒子同士が強く凝集構造を形成するため,デンドロン由来の液晶性が付与されないことがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は粒径制御したSiO2ナノ粒子を調製し,シランカップリング反応による表面カルボキシル基導入およびそのハイプリッドデンドリマー合成を行った.その結果,SiO2表面へのカルボキシル基導入およびデンドリマー合成の手法を確立した.また,組織構造形成および液晶性付与には粒径20nm以下とすることが望ましいことがわかった.
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