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2012 年度 実績報告書

スケーラブルRF CMOSトランシーバに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 12J09379
研究機関東京工業大学

研究代表者

李 尚曄  東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードRF / CMOS / Scalable / Frequency synthesizer / Injection locking / Transceiver / Digital
研究概要

RFCMOSトランシーバを設計のために必ず必要なものとしては,実際のRF信号を生成する周波数シンセサイザがある.そのシンセサイザは一般的にインダクタとコンダクタの共振を用いて信号を生成するために面積が大きいというのが問題として挙げられてきた.本研究では,まずその周波数シンセサイザのスケーラブル化・高性能化のために,トランジスタのみの構成であるリング発振回路と注入同期を用いている.それに関係する平成24年度の研究実施計画の一つであった「これまでの成果である注入同期回路技術を用いた発振器・位相同期回路の動作原理を明確化」については,順調に研究が進んでおり,それに関して雑誌論文として4件,国際学会1件という成果を出すことができた.そして,その内容をベースにして「Scalable RF CMOS Frequency Synthesizer Design with Injection Locking」というタイトルの博士論文としてまとめでおり,博士号を取得することができた.
もう一つの研究実施計画であった「周波数シンセサイザのスケーラブル・高性能化に向け,TDC,ディジタルフィルタなどのディジタル回路技術と,注入同期回路技術などのアナログ技術を組み合わせる新しいアーキテクチャを考案」に関してはTDCやディジタルフィルタの設計までは至ってないものの,VerilogやVHDLなどを用いたディジタル設計技術を身につけることができた.また,注入同期技術を用いた新たな送信機アーキテクチャを提案し,試作を行った.
最終目標であるスケーラブルRF CMOSトランシーバも進捗しており,65nm CMOSプロセスを用いてトランシーバのプロトタイプを設計・試作を行った.平成25年度にはその結果をフィードバックしてトランシーバモジュールとして仕上げる予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,チップ制作コスト制限を究極的な目的とし,RFトランシーバ設計においてインダクタレスでインバータをベースにした既存の構成に,ミックスドシグナル回路を用いたディジタルアシスト技術を適応する構成を提案することを目指している.平成24年度の研究進捗では注入同期手法を用いた周波数シンセサイザをメインとして,65nm CMOSプロセスを用いたスケーラブルRFトランシーバのプロトタイプの提案・試作まで行っており,全体の研究計画には完全に沿ってないものの,順調に進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

平成24年度の研究進捗としてスケーラブルRFCMOSトランシーバのプロトタイプを提案・試作を行ったが,TDCなどのミックスドシグナル回路はそこまで活用することができなかった.そのため,平成25年度にはTDCなどの回路の研究から始め,実際に周波数シンセサイザにその技術を適応していく予定である.そして,本研究の最終年度でもあるため,トランシーバIC回路の試作だけでなく,アンテナインタフェイスやパッシブ素子を用いたフィルタの設計などにも力を入れ、実際の無線通信が可能なモジュールとして仕上げていきたいと考えている.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] An inductorless cascaded phase-locked loop with pulse injection locking technique in 90 nm CMOS2013

    • 著者名/発表者名
      S. Lee. H. Ito, S. Amakawa, N. Ishihara, and K. Masu
    • 雑誌名

      International Journal of Microwave Science and Technology

      巻: 2013 ページ: 1-11

    • DOI

      10.1155/2013/584341

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A multi-band quadrature clock generator with high-pass-filtered pulse injection technique2013

    • 著者名/発表者名
      S. Lee, T. Kamimura, S. Yonezawa, A. Shirane, S. Ikeda, H. Ito, N. Ishihara, and K. Masu
    • 雑誌名

      IEEE Microwave and Wireless Components Letters

      巻: 23 ページ: 96-98

    • DOI

      10.1109/LMWC.2013.2239634

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Injection-locked Fractional frequency multiplier with automatic reference pulse-selection technique2012

    • 著者名/発表者名
      S. Lee, N. Kanemaru, S. Ikeda, T. Kamimura, S. Tanoi, H. Ito, N. Ishihara, and K. Masu
    • 雑誌名

      IEICE Electronics Express

      巻: 9 ページ: 1624-1629

    • DOI

      10.1587/elex.9.1624

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A ring-VCO-based injection-locked frequency multiplier with novel pulse generation technique in 65 nm CMOS2012

    • 著者名/発表者名
      S. Lee, H. Ito, S. Tanoi, N. Ishihara, and K. Masu
    • 雑誌名

      IEICE Transactions on Electronics

      巻: E95-C ページ: 1589-1597

    • DOI

      10.1587/transele.E95.C.1589

    • 査読あり
  • [学会発表] C級動作VCOと注入同期型分周回路を用いた低電力位相同期回路2013

    • 著者名/発表者名
      李 尚曄, 池田 翔, 石原 昇
    • 学会等名
      STARCシンポジウムFY2012
    • 発表場所
      新横浜国際ホテル
    • 年月日
      2013-01-31
  • [学会発表] An inductorless injection-locked PLL with 1/2- and 1/4-integral subharmonic locking in 90 nm CMOS2012

    • 著者名/発表者名
      S. Lee, S. Ikeda, H. Ito, S. Tanoi, N. Ishihara, and K. Masu
    • 学会等名
      IEEE Radio Frequency Integrated Circuits Symposium
    • 発表場所
      Montreal convention center, Montreal, Canada
    • 年月日
      2012-06-18
  • [備考] ・益研究室Publications

    • URL

      http://masu-www.pi.titech.ac.jp/publications_files/publications2012.html

  • [備考] ・研究者(李 尚曄)の研究内容又は研究成果に関するページ

    • URL

      http://masu-www.pi.titech.ac.jp/member_files/sangyeop_lee/sangyeop_lee.html

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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