研究課題/領域番号 |
12J09458
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新津 厚子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
|
キーワード | チカーノ / 壁画 / サイト・スペシフィック / アートの公共性 / メキシコ壁画運動 / ラスクアチスモ |
研究概要 |
平成24年度の研究活動は、第一に執筆活動、第二に学会発表と参加、第三に日本国内の芸術祭への参加や展覧会調査とアーティストとの意見交換がある。 平成24年度は、日本平和学会40周記念事業として出版される『平和を考えるための100冊』のうち、富山妙子『解放の美学―二〇世紀の画家は何を目指したか』(1979年,未來社)の書評を執筆した。この書評においては、メキシコ壁画運動を含めた複数の時代/地域の芸術運動が、それぞれに社会変革の一要素を担っていたことを論じた。 平成24年度の研究活動の二点目では、まず12月22日(土)に開催された日本ラテンアメリカ学会東日本部会にて、「メキシコ、オアバカ州の社会紛争におけるストリートアートを用いた民衆の抵抗」および「メキシコ近代建築運動について」という二つの発表のコメンテーターを行った。また京都大学人文科学研究所主催で12月15日、16日(土日)に開催された「人種神話の解体を知る」国際シンポジウムでは、「チカーノ壁画における人種表象の変遷」というテーマで二日間のポスターセッションに参加し、来場者へ本研究を説明した。セッション後はシンポジウムに参加した国内外の研究者と意見交換を行った。 研究活動の第三点目では、「大地の芸術祭」「瀬戸内国際芸術祭」という二つの芸術祭に訪れ調査を行った。この野外での芸術イベントは、芸術における「場所」「人」「歴史」「作品」「参加」を複合的に考える機会であり、インスタレーション作品や壁画作品の分析と作品に関する一次資料(画像、動画、パンフレット、証言)の収集を通じて、地域と作品の関係を理解するための複数の事例を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
執筆活動、学会発表と参加、日本国内の芸術祭への参加や展覧会調査とアーティストとの意見交換を通じて、チカーノの美学の説明と隣接学問における自身の研究の位置づけを明確にしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は投稿論文など執筆活動に更に専念するとともに、カリフォルニアへ長期滞在をし、チカーノ研究の現場での議論や最新の研究を学び、学会報告を行う。カリフォルニア滞在では、各地域の壁画コミュニティセンターへ訪れ参与観察やインタビュー、アクションリサーチ等を適宜行う。
|