東日本大震災において被災した自治体は、災害による被害からの復旧を図るため多くの支援を必要としたが、行政や社会福祉協議会等の組織自体が人的な被害をうけたため、外部の支援組織と連携しながら人材の受け入れをおこなった。対象とする宮城県石巻市では、このような体制のなか震災から1年間でのべ28万人ものボランティアを受け入れた。そして、こうした人材の一部は震災から4年が経過した現在も石巻に居住し地域に貢献している。 本研究は、震災後、宮城県石巻市中心市街地の震災前後の変化に着目し、現在も居住を続ける移住者の生活実態を通し、支援組織が中心市街地の再生に果たした役割を明らかにした。 研究方法は、まず支援団体の活動報告資料を整理した上で、目視調査により市街地の変化を明らかにした。さらに、支援団体へのヒアリングにより支援をきっかけとして中心市街地に居住した移住者を抽出し、アンケートとヒアリングを行い、生活実態を明らかにした。結論としては、支援組織は単なる災害普及のみならず、人材の受け入れという点で中心市街地の持続的な再生に寄与しているが、ストック不足の問題で同市街地への定着が困難であることが明らかとなった。
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