研究概要 |
in vitroにおいて単純な細胞集団では組織形成が行えないとの考えから、骨組織に関与すると思われる骨芽細胞以外の細胞の中で、まず生体の至る所に存在する線維芽細胞に着目した。互いに区別できるよう赤色蛍光タンパク質遺伝子を導入した骨芽細胞(MC3T3-E1^<red>)および緑色蛍光タンパク質遺伝子を導入した線維芽細胞(NIH3T3^<green>)を用いて、共培養を行った。2週間後に骨分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ活性を染色し比較したところ、MC3T3-E1^<red>単独培養に対し、二種の細胞を共培養した系において、明らかなアルカリフォスファターゼ活性の上昇が観察された。4週間後に骨形成の指標であるカルシウム沈着をアリザリンレッドSによって染色し比較したところ、同様の傾向が見られた。このことから線維芽細胞がin vitroにおける骨芽細胞の骨分化を促進する可能性が示唆された。そこで共培養系と単培養系における骨芽細胞の骨形成関連遺伝子の発現に違いが生じるかを調べるために、リアルタイムPCRアレイを用いて、各系の遺伝子発現パターンを比較した。その結果共培養系における骨分化促進に関わる候補遺伝子としてBMP5,FGFI,MCF2などの遺伝子が示唆された。 またin vitroにおいて骨リモデリング系を構築すべく、破骨前駆細胞株であるRAW264および骨芽様細胞株であるMC3T3-E1の共培養系の構築を検討した。破骨細胞分化誘導因子添加培地および播種24時間後のMC3T3-E1培養上清を用いて、破骨細胞分化の指標であるトラップ染色をしたところ、同程度の分化が観察された。
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