研究課題/領域番号 |
12J09526
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
百井 雄一 東北大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | haouamine B / 全合成 / Friedel-Crafts反応 / アザパラシクロファン / η^6アレーンクロム錯体 |
研究概要 |
海洋アルカロイド(-)-haouamine Bの合成研究を精力的に行った。最近、分子内Friedel-Crafts反応と分子内McMurryカップリングを経て、haouamine Bの全合成を達成し、平面構造および絶対立体配置を決定している。本年度は、さらなる短工程化を目標に分子内Friedel-Crafts反応を検討した。その結果、予期しないハロゲン転位反応を見いだした。すなわち、臭素原子のイプソ位での環化反応が進行した後、生じたオキソニウムを解消するように臭素原子が転位し、インデノ-β-ラクタムが得られた。このような反応は過去に報告例がなく、新規性が高い。以上の成果について論文を執筆中である。 また、Haouamine Bが歪んだ芳香環やビアリール結合を有することに着目し、η^6アレーンクロム錯体を利用した第二世代合成に取り組んだ。まずは、芳香環上の脱プロトンが容易である特徴を生かし、穏和なアミド塩基であるMg (TMP)_2を用いたカップリング反応を検討した。その結果、アレーンクロム錯体を脱プロトンしマグネシオ中間体とした後、銅へのトランスメタル化を経て、パラジウム触媒存在下ヨードベンゼンとのカップリングに成功した。これによりビアリール結合を構築できた。また、塩化鉄(III)存在下、ヨウ化アルキルとのカップリングも可能であることを見いだした。本合成法を利用することでアザパラシクロファン骨格構築法を確立し、haouamine Bの短工程合成が実現できると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Traunerらにより新たに提唱されたhaouamine Bの全合成を達成し、本成果について論文を執筆中である。また、分子内Friedel-Crafts反応において新規なハロゲン転位反応を見いだし、新たな知見を得ることができた。さらに、η^6アレーンクロム錯体を利用した短工程合成に着手し、その過程でカップリング反応に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
アザパラシクロファン骨格構築のモデル基質の合成に取り組む。アレーンクロム錯体とのカップリング反応を用いて、環化前駆体を合成し、アザパラシクロファン骨格の構築を試みる予定である。すなわち、η^6アレーンクロム錯体は容易に求核付加を受け、sp^3炭素を含むη^5ヘキサジエニルクロム錯体を形成する。その後、フッ化物イオンの脱離によって再び芳香環化し、折れ曲がった芳香環を直接的に構築できると考えている。
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