研究課題
海産甲殻類アミの脱皮ホルモン受容体(EcR)に着目し、EcRを介したシグナル伝達機構を指標として、環境化学物質のリスクを評価する生態毒性試験を確立することを目的とする。本年度は、EcR相互作用タンパク質として昨年度同定したclathrin heavy chain(CHC)について、EcRを介した転写における役割について調べた。CHCの細胞内局在を調べたところ、細胞質のみならず核内にも一部存在することを明らかにした。CHC発現プラスミドを作成後、アミEcR・USP発現プラスミドとともに昆虫細胞内で共発現させ、ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、CHC発現区は非発現区よりも有意に高い活性が得られ、且つCHC発現量に依存した活性の上昇が認められたことから、EcRを介した転写活性を促進させる作用をもつものと考えられた。次にCHCがアミEcRのどのアミノ酸と相互作用しているのか調べるため、部位特異的変異導入により、アミEcRのPhe563およびTrp568をアラニンに変異させたプラスミドを構築し、CHCとの共発現におけるレポーター活性を測定した。変異導入プラスミドを用いたレポーターアッセイの結果、W568Aのルシフェラーゼ活性がWTと比較し、有意に減少していたことから、Trp568がCHCとの相互作用に特に強く関与していることを明らかにした。さらに、哺乳細胞を用いたtwo-hybridアッセイを構築し、昆虫コアクチベータTaimanと同様にCHC発現群でもレポーター活性の上昇がみられたことから、転写活性化の促進および安定化に寄与するものと考えられた。このtwo-hybrid系と初年度構築したin silico系を組み合わせ、医薬品および生活関連物質(PPCPs)をスクリーニングしたところ、一部の医薬品、ビスフェノール化合物にアゴニスト・アンタゴニスト作用が認められた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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