研究課題
本年度は、コンクリート+地盤複合材料の長期性能予測が可能な統合解析システムについて、材料の多様性に対応するための実用的な高度化と検証、および大規模解析計算スキームの確立を行った。さらに、構築してきたモデルと物理挙動を取り扱う三次元構造解析モデルとの強連成解析にも新たに取り組んだ。セメント硬化体内微小空隙中の塩化物イオンモデルを、混和材を用いた場合を含むセメント硬化体一般へ適用するために、空隙壁面の電気的性状を考慮した形で一般化・高度化した。高度化したモデルは、2年来継続してきたモルタルの塩水浸せき試験結果を用いて検証した。空隙壁面極近傍での塩分吸着厚さや電気二重層影響範囲等を考慮することで、混和材を使用したセメント硬化体についても、塩分浸透挙動を現実的に再現可能であることが示された。本研究内容は、コンクリート工学年次論文集第35巻へ投稿するとともに、昨年度の研究成果について、土木学会論文集E2 Vol. 70へ投稿した。粗大スケール空隙を対象とした六価クロムの溶出モデルについて、今後の材料適用性拡大を目的とし、生成される各水和物の生成量に応じた固定モデルを既往モデルに実装した。水和物への吸着と置換固溶といったメカニズムに基づいた定式化により、クロム固定・溶出に関する材料挙動を適切に再現することを確かめると共に、構築した解析システムを数km程度の実規模環境影響評価へ適用するために、数十万要素の計算を可能とする大規模解析計算スキームを確立した。本内容について、セメント・コンクリート論文集Vo1.67へ投稿した。また、新たに、化学反応と物理的挙動の両者を考慮することが不可欠な、鉄筋コンクリートのアルカリ骨材反応による大規模変形劣化・材料挙動解析モデルを構造コンクリートの挙動の予測を行う物理モデルと直結させることに取り組んだ。化学反応物生成モデルと、ひび割れを有するコンクリート中の圧力場形成モデルを構築し、両者間で関連する物理量変数を共有することで、強連成計算スキームを達成した。
1: 当初の計画以上に進展している
(抄録なし)
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セメントコンクリート論文集
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