研究課題/領域番号 |
12J09583
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大澤 奈摘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 筋強直性ジストロフィー / DM / PDLIM3 / ABLIM1 / MBNL / CELF / RBM20 |
研究概要 |
筋強直性ジストロフィー(DM)の患者において、PDLIM3とABLIM1のスプライシング異常を新たに検出し、これらのスプライシング異常が症状に関与しているかどうか、またどのようなスプライシング因子による異常によるものか調べた。 PDLIM3は正常筋ではisoform aが主に検出されているが、DM筋ではisofom bが主に検出される。そこで異なるisofom間で結合するタンパク質や結合能に違いがあり、それが筋肉の症状に関与していると考えた。PDLIM3の持つ3つのisoformのタンパク質発現コンストラクトを作成して、結合するタンパク質をGSTプルダウンアッセイによって調べた。すると、PDLIM3との結合が報告されていたα-actinin2との結合は各isoform間で結合能の差は見られなかったが、isoformaとのみ結合するタンパク質の存在が確認できた。今後、そのタンパク質をマス解析する予定である。このタンパク質が同定されれば、PDLIM3と結合する新規タンパク質の検出だけでなく、このタンパク質とPDLIM3の結合がDMの症状に関与している可能性があり、治療のターゲットになる可能性もある。 また、ABLIM1のミニジーンを利用して、LBNLやCELFといった従来から知られているスプライシング因子以外にRBM20に着目してスプライシングアッセイを行った。するとRBM20はCELF1と同様にexon11を脱落させる作用が見られた。RBM20は拡張型心筋症でも異常が報告されており、DMでも異常になっている可能性は高く、これがDM患者で見られる心筋症の原因である可能性もある点で、重要性は高いと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初の研究計画と多少異なる方法で実験を進めているが、目的は同様であり、結果が出始めているため。 なお、リピート伸長のメカニズムの解析は、今回の研究目的から除外している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、PDLIM3においては、マス解析の方法を確立することが今後の方策であり、タンパク質が同定でき次第、そのタンパク質間結合が症状とどのように関係しているかを探求していく。 ABLIM1においては論文にまとめることが目標だが、RBM20の発現量がDM患者の心臓で異常になっていないかどうか調べることも重要である リピートの伸長因子を解析するためのアッセイを確立することを計画の一つにしていたが、実験量、方法も非常に難しく、時間がかかるため、今回は削除することとした。
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