研究課題/領域番号 |
12J09583
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大澤 奈摘 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | DM1 / ABLIM1 / MBNL1 / CELF1 / PTBP1 |
研究概要 |
筋強直性ジストロイーは様々な遺伝子で選択的スプライシングの異常を呈しており、いくつかの遺伝子のスプライシング異常は症状に関与することが明らかになっている。そこで、私たちは患者の筋肉で、ABLIMIエキソン11の選択的スプライシングが異常になっていることを明らかにし、その分子機構の解明を行うことを目的として、研究を進めた。 今まで、ABLIMIのミニジーン(エキソン11の上流と下流のエキソン、イントロン構造を1つずつ保持したもの)を作製し、培養細胞に様々なスプライシング因子とともに遺伝子導入し、過剰発現することで、どのスプライシング因子がABLIM1のスプライシングを制御しているか調べてきた。すると、MBNL1、2、3、FOX1はエキソン11を挿入する方に、CELF1、2、6、PTBP1はエキソン11を脱落させる方に調節していることが分かり、それら因子をmiRNAをノックダウンさせた時に過剰発現と逆の結果が得られるかどうか、実験を行った。 MBNL1、2、CELF1についてノックダウン実験を行ったところ、MBNL1、2は過剰発現とは逆の結果が得られたが、CELF1ではスプライシング変化を見られなかった。そこで、このmiRNAに利用した配列はすでに効くことが確認されているが、これらが正常に機能しているかどうか、ウェスタンブロットで確認したところ、MBNL、CELFのタンパク質レベル、RNAレベルいずれも発現が減少していないことが分かった。利用した培養細胞はマウス筋芽細胞C2C12であることから、遺伝子導入効率があまり良くないためだと考えられるが、蛍光観察よりミニジーンとmiRNAベクターが同じ細胞に入りやすいため、MBNLのノックダウンの実験は上手くいったと思われる。遺伝子導入の条件検討を行ったが、導入効率を今以上にすることができなかったため、siRNAを利用してノックダウンすることにした。すると、タンパク質レベルでMBNL1、CELF1をノックダウンすることができたため、この条件で現在、ノックダウン実験を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、うまくいっていると思っていたノックダウン実験がうまくいっていなかったことから、条件検討やノックダウン方法の手法を変更していたら、実験がやや遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
スプライシング因子の過剰発現系によるABHM1のスプライシングを制御している因子を同定できたので、今後はノックダウン実験でもこれらを確認する。 また、PDLIM3のスプリアシング異常により生じた異常なたんぱく質の機能上の異常を同定し、症状との関与があるかどうか調べる実験をする予定である。しかしながら、GST pull downアッセイを行って、正常なPDLIM3と異常なもので結合するタンパク質の種類が異なるかどうか実験しているのだが、なかなかバンドが検出できていない。この対応策として、PDLIM3タンパク質の分解のバンドが邪魔をしているので、分解が進まない条件、かつ利用するPDLIM3の量を減らすこと、さらに検出感度を上げるために、CBB染色から銀染色に変更するなど、考えている。
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