研究課題/領域番号 |
12J09603
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
中島 崇之 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013-03-31
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キーワード | エルビウムシリケート / 小型光増幅器 / アップコンバージョン / ゾルゲル法 / ラジカルアシスタントスパッタリング法 |
研究概要 |
本年度においては3つの成果が得られた。まず、ラジカルアシスタントスパッタリング(RAS)法を用いたEr/Yシリケート結晶導波路の作製を行った。Er_xY_<2-x>SiO_5の組成比xは0.45である。RAS法により作製した導波路試料はsol-gel法で作製した場合と比較しても82cm^<-1>もの散乱損失が抑制できた事がわかった。これは酸素ラジカルを利用した酸素組成制御とLayer-by-layer堆積法の2つによって導波特性の大幅な改善がみられた。これにより損失の少ない導波路の作製が可能となり光学利得増加が期待できる。 もう一つは導波路型デバイスを利用することでEr/Yシリケートにおけるアップコンバージョン係数の評価に取り組んだ。導波路へ励起光を挿入すると結晶中のEr^<3+>が励起され、さらに高い励起強度にすると励起Er^<3+>同士が相互にエネルギーの授受を繰り返すことで緑色発光を顕著に示す。この事象を利用し、緑色発光強度の励起光強度依存性を調査した上で、結晶内Er^<3+>のアップコンバージョンを考慮した4準位系のエネルギー遷移モデルを提案し、計算機を用いたシミュレーションを行った。これによりアップコンバージョン係数は10^<-17>cm^3/s程度であるとわかり、またこの値は以前に報告されたものと比較して同等であったことから、この評価方法は妥当であったと結論づけた。 最後にEr/Yシリケート結晶内で生じるエネルギーマイグレーションについて、拡散によるエネルギー移動とそれによって生じる非発光遷移確率の関係をモデル化し、解析および評価を行った。電気双極子によるエネルギー移動係数は3.5x10^<-38>cm^6s^<-1>となり、過去に報告した値と一桁異なるものとなった。ここでEr/Yシリケート結晶は本来持つ蛍光寿命が添加型材料と比較しても1桁程度短いことから、それに対応した結果が得られた。このエネルギー移動からもアップコンバージョン係数の推定が行え、上で示したアップコンバージョン係数と同等のものが得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RAS法によるErxY_<2-X>SiO_5結晶作製で結果が思うように得られず、計画が遅れてしまっている大きな原因となった。またデバイス作製に関してもプロセスの再現性があまり高くなく、導波路型増幅器作製の足かせとなった。しかし、ErxY_<2-X>SiO_5結晶内のエネルギー移動に関して、当初の計画にはなかった結果が得られたことから、計画の達成度はやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は就職のため特別研究員を辞退したことに伴い本研究課題も辞退することとなった。
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