研究課題/領域番号 |
12J09642
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
長島 幸広 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 植物 / 小胞体ストレス / サリチル酸 |
研究概要 |
構造異常タンパク質が小胞体内へ蓄積するとBipに代表される小胞体シャペロンの協調的誘導などが見られる。これを小胞体ストレス応答という。シロイヌナズナの小胞体ストレス応答のシグナル伝達経路にIRE1-bZIP60経路がある。これまでに、病原菌感染やサリチル酸処理によりBipを含む小胞体ストレス応答関連遺伝子の一部が誘導されることが報告されているが、その情報伝達機構は不明な点が多い。本研究ではサリチル酸処理による小胞体ストレス応答関連遺伝子の誘導とIRE1-bZIP60経路の関わりを調べた。 まず、サリチル酸処理によって活性化されたbZIP60が標的とする遺伝子の同定を試みた。小胞体ストレスにより活性化されたbZIP60が標的とする遺伝子としてBIP3やSar1がある。これらの遺伝子について解析を行った。その結果、サリチル酸により活性化されたbZIP60はBZP3やSar1を制御していることが明らかとなった。次に、サリチル酸による植物の免疫応答における重要な制御因子であるNPR1との関係を調べた。NPR1変異体におけるbZIP60の活性化や別P3やSar1について解析を行ったところ、サリチル酸処理によるbZIP60の活性化やBZP3やSar1の誘導が見られた。 以上の結果から、サリチル酸はIRE1-bZIP60経路を介してシャペロンなどの標的遺伝子を誘導していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の重要な課題であったサリチル酸処理により活性化されたbZIP60の標的遺伝子が明らかになったため。IRE1/bZIP60経路は小胞体ストレスとサリチル酸どちらも同じ遺伝子を標的としていることから、サリチル酸が小胞体ストレスを引き起こす可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
サリチル酸が小胞体ストレスを引き起こしている可能性が予想されるが、その原因は明らかとなっていない。そのため、サリチル酸が小胞体ストレスを引き起こす原因を明らかにすることを試みる。具体的には、サリチル酸処理により発生する活性酸素種などが原因となっていることも考えられるので、変異体などを用いた実験による解析を計画している。
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