研究課題/領域番号 |
12J09642
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
長島 幸広 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 植物 / 小胞体ストレス / サリチル酸 |
研究概要 |
真核細胞のオルガネラの一つである小胞体では、種々のストレスにさらされたことで構造異常タンパク質が蓄積することがある。これに対し、異常タンパク質の折りたたみを促進するシャペロンなどの遺伝子が協調的に誘導される。このような現象は、小胞体ストレス応答と呼ばれている。植物の場合、シロイヌナズナで、小胞体ストレス応答のシグナル伝達経路は、主に二つが知られている。一つは、小胞体膜貫通型センサータンパク質IRE1と転写因子bZIP60からなるIRE1-bZIP60経路であり、もう一つは、膜結合型転写因子bZIP28による経路である。これまでの植物における小胞体ストレス応答の研究では、主に化学薬剤によるタンパク質の立体構造の形成阻害により、人為的に小胞体ストレスを起していた。そのため、植物の小胞体ストレス応答の生理的な環境での知見は限られていた。 これまでに、植物で小胞体ストレス応答の指標となる小胞体シャペロンの誘導が起きる刺激として、病原菌感染や防御応答が報告されていた。特に、植物ホルモンの一種で、病害応答に関わるサリチル酸が小胞体シャペロンを誘導する。本研究では、サリチル酸処理による小胞体シャペロンが誘導される機構について研究を行った。その結果、いくつかの小胞体シャペロンは、IRE1-bZIP60経路依存的に誘導されていた。さらに、bZIP28特異的な抗体を作成し、サリチル酸処理を行った植物でbZIP28の検出を行ったところ、bZIP60と同様にサリチル酸処理で活性化していた。以上の結果から、サリチル酸処理による小胞体シャペロンの誘導は、小胞体ストレス応答のシグナル経路を介して起きていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
bZIP28抗体を作成したことで、内生のbZIP28をタンパク質レベルで検出することができる様になったから。また、bZIP28抗体を用いることでサリチル酸がbZIP28も活性化することがわかり、植物の場合、サリチル酸処理が小胞体ストレスを起こす可能性が高いことが明らかになったため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験結果をまとめ、論文として発表する。また、次の段階として、サリチル酸による小胞体シャペロンの誘導がより生理的環境に近い状態で起こりうるか検証する。具体的には、現在実験に用いている化学合成されたサリチル酸塩の外生処理にかえて、病原菌やエリシターによる内生サリチル酸を誘起した場合でも小胞体シャペロンが誘導されるか調べる。
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