研究課題/領域番号 |
12J09656
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大和屋 健二 千葉大学, 大学院医学研究院, 特別研究員(PD)
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キーワード | 受精 / 先体 / 精子 |
研究概要 |
昨年度は実施目標であるequatorinと共免疫沈降する分子の質量解析による同定と、その結果得られた分子の細胞発現用ベクターの作成を達成した。 本年度は以上の結果をもとに解析を進めた。Equatorinの共免疫沈降では先体および先体周囲のマトリクスと相互作用により、非特異的な分子が多く得られ、より精密な分子間相互作用の解析が必要であることが明らかとなった。現在、直接な結合をする分子を得るため試行錯誤を行っている。また、培養細胞を用いた解析ではトランスフェクション効率と過剰発現の影響で解析に問題が発生している。その対策としてFlp-In T-Rexシステムを用いたテトラサイクリンで誘導する安定発現株を作製し、効率の良い系を確立することを開始した。 上記問題の対策として、共免疫沈降によらない方法でequatorinと相互作用する分子の同定を開始した。先体反応の解析の結果、equatorinタンパク質に対して酵素活性を示す分子を発見することができた。equatorinの分子量の約半分は糖鎖修飾であり、それらの翻訳後修飾変化の解析はequatorinタンパク質のノックアウトマウスの解析では得られない翻訳後修飾の意義を明らかにすることができる。この酵素を同定するため、活性を指標にこの酵素の精製を行う系を確立した。 エンドサイトーシス過程の解析に関してはEQT-EGFPマウスにおける遺伝子座を決定し高輝度EQT-EGFPマウスを作製することができている。EQT-EGFPマウスを用いた受精におけるエンドサイトーシス過程のライブイメージングに取りかかることが出来た。より効率的に初期の受精を撮影する方法を検討している。相互作用する分子の決定後、その分子の動態を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共免疫沈降による相互作用する分子の同定は遅れている状況であるが、別の方法で相互作用する分子の同定は進行している。また、糖鎖修飾などの翻訳後修飾に関する情報も得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
共免疫沈降による相互作用する分子の同定は検証作業のための培養細胞を用いた実験において、トランスフェクション効率と過剰発現が一つの問題となり遅れている。この対策としてFlp-In T-Rexシステムを用いたテトラサイクリン誘導が可能な安定発現株の作製をおこなう。また、equatorinの性質上、間接的に結合した分子が多く、より直接的に結合する分子を得るには慎重を有するため遅れが生じている。対応策として別の方法で相互作用する分子の同定を試みており、順調に進行している。In vivoの実験系では有胎盤類で保存性の高いドメインに変異を導入したマウスを作製し、タンパク質のドメインの機能解析を進める。
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