研究課題/領域番号 |
12J09720
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 真吾 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(DC2)
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キーワード | オスマン朝 / 興隆 / 没落 / 歴史記述 / アフメディー / イドリース・ビトリースー / ムスタファ・アーリー |
研究概要 |
本研究は、15・16世紀オスマン朝で著された歴史書に見られる「興隆」と「没落」の解釈や評価を分析し、そしてこの結果をそれら著作の著者の政治的・社会的・文化的背景と比較することによって、この時代に見られた「興隆」と「没落」の諸解釈・評価を、相互の関連や全体の中における位置づけという観点から明らかにするものである。本研究では、これらの歴史家のうち、同時代の代表的な三者であるアフメディー、イドリース・ビトリースィー、ムスタファ・アーリーを選び主な研究対象とする。まず彼らを同時代の著術家たちの系列に位置づけ、その出身・経歴・思想的背景を比較し、著者層がどのように発展していったのか、そして彼らが同時代の著述家の間でどのような位置を占めていたのか、またどのような立場を代表していたのかを明らかにしようとした。この目的のため今年度は、フランス国立図書館、ウィーン国立図書館での写本調査を行った。これらの調査で得られた成果と既に収集した史料を基に以下の研究を行った。まず、上記の三者が作品を著した分野(歴史、文学、神学、政治思想など)の著者の経歴・著作を同時代に書かれた伝記史料やその他の史料を用いてまとめ、その経歴に見られる傾向や著作の分布、内容との関連を明らかにした。そしてその中で、上記の三者がどのような位置を占めているのかを明らかにすると共に、著作の内容とその傾向がどう関わるのかを明らかにした。また上記の三者について、その歴史記述の内容と、政治思想などその周辺の言説についての分析を進めた。今年度はアフメディーとビトリースィーの著作に集中し、作品の内容と、著者の経歴、同時代の政治的状況、著者が身につけていた教養との関わりを分析し、これによって著者の背景や彼らを取り囲む環境が「興隆」と「没落」に関する諸言説にどう影響を与えているのかを明らかにした。また、上記の三者を含めた同時代の著述家が、どのような目的で、誰に向けて作品を書いていたのかを明らかにする必要がある。そのためには当時の著者と読者の関係を明らかにすることが必要となる。このため当時の図書館コレクションや個人コレクションの構成における歴史書の位置付けを探った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載の研究を行い、おおむね研究目的にそった成果が得られている。また、研究成果の発表については、現在研究成果の一部を雑誌論文として投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は研究計画に従い、残りの海外調査を遂行すると共に、収集した史料と24年度の研究成果を踏まえた上でさらに分析を進めていく。
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