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2014 年度 実績報告書

強相関マンガン酸化物における電子相転移の原子スケール学理の構築

研究課題

研究課題/領域番号 12J09797
研究機関東北大学

研究代表者

清水 亮太  東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードマンガン酸化物 / 走査型トンネル顕微鏡/分光法 / 酸化物エレクトロニクス / 金属-絶縁体転移
研究実績の概要

本年度は,走査トンネル顕微鏡/分光法(STM/STS)によって確認された強磁性金属La0.75Ca0.25MnO3/SrTiO3(100)薄膜における表面絶縁化について,理論計算によりその金属-絶縁体転移の機構を解明し,表面・界面において良好な強磁性金属状態を実現するための指針を検討した.
まず,Caをドープしない母物質のモット絶縁体LaMnO3について検討し,STO基板によるストレインのかかったtetragonal相を初期値として構造最安定化を行った.すると,初期値のtetragonal相がエネルギー極小値をとるため,面内の異方性を反映したzigzag構造をとり得ず,金属的な表面状態が確認され,STM像及びトンネルスペクトルともに再現しなかった.そこで,表面のzigzag構造がバルクのorthorhombic構造に由来すると考え,バルク体の構造データを初期値として表面最安定化を行った.すると,バルクを反映して面内で異方的な構造をとり,STMシミュレーションにおいても当該zigzagを再現した.
これをもとに,Caのドーピングについて考察した.置換サイトを変えて全エネルギーの深さ依存性を計算した結果,Caは表面近傍よりも深い位置で置換されやすいことがわかった.これはイオン半径の差によるMnOx正八面体の傾斜に起因する.またCa置換による大きな正八面体傾斜はSTM像のzigzag構造を消失させた.すなわち,エネルギー的にCaが表面近傍を好まない点はSTMの現象論からも支持される.このように表面・界面では,薄膜内部で想定される構造や組成比とは必ずしも一致せず,より精緻なデバイス設計が求められる.

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Imaging the evolution of d-states at a strontium titanate surface2014

    • 著者名/発表者名
      I. Hamada, R. Shimizu, T. Ohsawa, K. Iwaya, T. Hashizume, M. Tsukada, K. Akagi, T. Hitosugi,
    • 雑誌名

      J. Am. Chem. Soc.

      巻: 136 ページ: 17201-17206

    • DOI

      DOI:10.1021/ja509231w

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 最先端顕微鏡で捉えた酸化物薄膜の成長メカニズム2014

    • 著者名/発表者名
      一杉太郎,清水亮太
    • 雑誌名

      月刊「化学」

      巻: 69 ページ: 31-36

  • [学会発表] Atomic-scale study of the topographic and electronic structure of a SrTiO3(100)-(√13×√13)-R33.7o reconstructed surface2014

    • 著者名/発表者名
      R. Shimizu, I. Hamada, T. Ohsawa, K. Iwaya, K. Akagi, M. Tsukada, T. Hitosugi
    • 学会等名
      The 7th International Symposium on Surface Science
    • 発表場所
      くにびきメッセ (松江市)
    • 年月日
      2014-11-02 – 2014-11-06
  • [学会発表] La0.7Ca0.3MnO3薄膜表面における構造・電子状態の原子スケール観察2014

    • 著者名/発表者名
      清水亮太,岩谷克也,大澤健男,中村俊也,安藤康伸,南谷英美,渡邉聡,一杉太郎
    • 学会等名
      第75回応用物理学会秋季学術講演会
    • 発表場所
      北海道大学 (札幌市)
    • 年月日
      2014-09-17 – 2014-09-20
  • [学会発表] STM/STSを用いたLa0.7Ca0.3MnO3薄膜表面の構造・電子状態評価I (実験)2014

    • 著者名/発表者名
      清水亮太,岩谷克也,大澤健男,中村俊也,安藤康伸,南谷英美,渡邉聡,一杉太郎
    • 学会等名
      日本物理学会2014年秋季大会
    • 発表場所
      中部大学 (春日井市)
    • 年月日
      2014-09-07 – 2014-09-10
  • [学会発表] STM/STSを用いたLa0.7Ca0.3MnO3薄膜表面の構造・電子状態評価II(理論)2014

    • 著者名/発表者名
      中村俊也,安藤康伸,南谷英美,清水亮太,岩谷克也,大澤健男,一杉太郎,渡邉聡
    • 学会等名
      日本物理学会2014年秋季大会
    • 発表場所
      中部大学 (春日井市)
    • 年月日
      2014-09-07 – 2014-09-10

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公開日: 2016-06-01  

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