研究概要 |
非熱プラズマおよび磁性流体を用いたディーゼル微粒子フィルター(DPF)によるディーゼルナノ微粒子の浄化システムを提案し、その新機能を解明する。最終目標として100nmのディーゼル微粒子浄化を目指す。システムの原理の確立、システムの構築、実験、性能評価という一連の研究を行い、ディーゼル微粒子(PM)浄化のためのPMの磁性流体への吸着機能とプラズマ形成オゾンによる磁性流体(液体)中のPM捕集と酸化機能,磁性流体の触媒機能の解明が研究目的である。 今年度の成果は以下の通りである。 1.PMとオゾンの酸化現象の解明:オゾン発生装置およびガス計測機器を選定した。既存のDPFによりディーゼル排ガスに含まれるPMを捕集し、オゾンにより捕集したすべてのPMを酸化燃焼するDPF完全再生実験を実施した。実験により、これまで明らかではなかった排ガス中のすべてのPMがオゾンにより酸化することが可能であることを実証した。また、実験結果と反応式の考察より、PM濃度とオゾン濃度からDPFを再生する理論式を求めた。磁性流体DPF構築のためのPMとオゾンの酸化反応の重要なデータならびに理論を得た。 2.ナノ微粒子の高効率捕集方法の検討:ナノPMの効率的な捕集方法を検討した。検討の結果、放電により粒子を帯電し捕集するパルスコロナ放電プラズマ方式を採用し、ナノ粒子捕集用のプラズマリアクタを作成した。プラズマリアクタにおけるナノ微粒子の水液膜への付着捕集に関する実験を実施した。5種類のナノサイズの標準粒子(粒子径29,48,100,202,309nm)を処理の対象として、各粒子径で水液膜がない場合(乾式)とある場合(湿式)で捕集実験を行った。その結果、乾式で67.2%以上、湿式では98.5%以上の粒子捕集率を達成した。この成果により磁性流体DPFの設計に展開するための方向性を得た。
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