研究概要 |
非熱プラズマおよび磁性流体を用いたディーゼル微粒子フィルター(DPF)によるディーゼルナノ微粒子の浄化システムを提案し、その新機能を解明する。最終目標として100nmのディーゼル微粒子浄化を目指す。システムの原理の確立、システムの構築、実験、性能評価という一連の研究を行い、ディーゼル微粒子(PM)浄化のためのPMの磁性流体への吸着機能とプラズマ形成オゾンによる磁性流体(液体)中のPM捕集と酸化機能, 磁性流体の触媒機能の解明が研究目的である。 今年度の成果は以下の通りである。 ナノ微粒子の高効率捕集の機能解明 : パルスコロナ放電プラズマ方式によるナノ微粒子の高効率捕集の機能を解明する上で重要な放電特性を調べた。放電損失の少ないリアクタ電極を開発し、放電電力と捕集率の関係を明らかにした。基本特性を調べるために、乾式処理のプラズマ放電なしとありの場合と湿式処理のプラズマ放電なしとありの場合の実験条件を設定した。これら実験条件のもと、PSし標準粒子(粒子径0.029, 0.048, 0.100, 0.202, 0.309㎛)に対する捕集効率を調べた。その他の条件は総ガス流量4 L/min、エアロゾル発生器への圧力200kPaで、乾式(水膜なし)処理の場合は、放電電圧30kVおよび35kV、温式(水膜あり)処理の場合は、放電電圧28kV、水流量0.20L/minとした。集塵効率はリアクタ上流の粒子濃度に対する捕集された粒子濃度の割合をした。 乾式処理のプラズマ放電ありの場合、放電電圧30kV、0.6Wで集塵効率は全粒径に対して集塵効率は67.4%以上であり、最大90.0%であった。また、放電電圧35kV、電力10.7Wで集塵効率は全粒径に対して84.7%以上であり、最大98.9%であった。 湿式処理のプラズマ放電ありの場合、全粒径に対して98.5%以上の高い集塵効率を達成した。わずかではあるが乾式の場合と同様に0.048㎛、0.100㎛の方が0.309μmより集塵効率が高く、0.309㎛は荷電されにくい粒子径であることが分かった。一般的に電気集塵では0.1μmサイズの粒子では静電気力が小さくなりため捕集は困難とされているが、本装置の湿式処理で径0.1μmの粒子に対して99.9%の捕集に成功し、捕集性能の高さを実証した。
|