本年度は計7回のフィールドワーク行い、以下の3つの調査を行った。調査対象は沖縄県久高島で話されている方言である。 1. 自然談話の書き起こし 2. 文法・語彙調査 3. 静的パラトグラフィー 1に関しては、86歳の方言話者(A氏)から88歳の方言話者(B氏)への発話を中心とした談話を44分間、同じ話者Aから65歳の方言話者(C氏)への発話を中心とした談話を42分間、合計して86分間分の自然談話を書き起こした。滞在期間中、毎日書き起こしの協力をしてもらうことは困難であったため、作業の進捗は遅かったが、当該方言の概要を知るには十分のデータを作ることができた。この書き起こしと並行して、その疑問点に関する調査を別途行ったのが2である。書き起こしの協力者2名は比較的若い60代の方言話者であるのに対し、文法・語彙調査(および自然談話)の協力者は88歳の話者(A氏)で、伝統的方言をより正確に保存している。3に関しては、当該方言に関して複数の先行研究で当該方言に特有であると指摘されている舌先と歯茎を用いた摩擦音の調音点を正確に調べるため、食用竹炭を用いた静的パラトグラフィーを行った。目下、音声学の専門家と共に調査結果の分析をしており、次年度の早い段階で学会発表をする予定である。 最後に、計7回のフィールドワークの実施期間を最後に示す。 1回目 : (2013年)4/30-5-20、2回目 : 6/5-6/23、3回目 : 7/3-7/19、4回目 : 10/8-10/26、5回目 : 11/5-11/20、6回目 : 12/10-12/20、7回目 : (2014年)3/11-3/31、合計滞在日数 : 117日間。
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