研究課題/領域番号 |
12J10075
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡村 健太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 高所移転 / スモールライフライン / 産業組合 / 山道 / 私的復興 |
研究概要 |
大槌町における地籍図および土地台帳の分析により、明治三陸津波および昭和三陸津波前後において、自らの所有地内での高所移転(自助)、地主の宅地開発による高所移転(共助)、公的機関による高所移転(公助)がそれぞれの集落でどのように実施され復興を果たしたのかを具体例に基づき明らかにした。特に昭和三陸津波後の復興過程については、内務省や農林省をはじめとする国の省庁などの公的機関と、被災地の漁業組合等の団体や地主等の有力者等が協同することで速やかな復興を果たしていることを明らかにした。こうした官民協同や中長期的視点にたった土地利用の考え方などに基づく昭和三陸津波後の速やかな復興は、状況が異なるとはいえど震災後二年が立った今も復興の兆しが見えない被災地の現況に対し示唆するところも大きいと考える。 また、東日本大震災直後の被災地にて、津波を逃れ高台に避難した住民の道路が瓦礫で埋め尽くされ通行不能となったために孤立した。しかし、隣接する集落を山越えで結ぶ山道を利用して緊急支援物資や急病人等の輸送を行っていた実態を明らかにした。また、過去の地図の分析により、山道が戦後に港湾沿いの道路が建設される前には集落どうしを結ぶ主要な道で、現在でもそれらが林道や獣道のような形で残されている道と既に消滅しているものがあることが明らかになった。それら山道は自治体の防災計画等には記載されていないような道も多く含まれており、過度に公的機関に依存しない住民自らによる今後の防災対策やまちづくりのあり方を検討する際に有効であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主な研究対象地である大槌町については、カウンターパートである役場職員や地元住民とも良好な関係を築いており、現地でのインタビュー調査等の現地調査は順調に遂行している。資料調査については、地籍図および土地台帳資料が大量に存在したために、その入手および分析に若干時間がかかっているが概ね想定の範囲内である。また、大槌町以外のフィールドについては、被災地であることを考慮しカウンターパートの探索および信頼構築に慎重にならざるを得ない側面が有るため、当初予定よりは若干遅れているが、後述のとおり規模を縮小して今年度実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり、大槌町に関しては地籍図および土地台帳関係資料が大量に存在しそれらを入手できたため、当初想定よりも大槌町に関する調査に重きを置くこととし、その他地域については大槌町と比較する形で取り扱うこととする。また昭和三陸津波後の復興において「産業組合」が重要な役割を果たしたことが分かったため、そちらについては当初想定にはなかったが、国・県の資料収集を行うとともに現地でのインタビュー調査等を追加する。
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