研究課題
強誘電体の圧電効果は外場を印加したときのドメイン壁の運動や構造相転移によって、その応答が大きく変化する。リラクサー系強誘電体単結晶においては、外場の印加によって菱面体晶から単斜晶を経て正方晶へと相転移し、これに伴う分極軸の回転が起因した巨大な圧電応答の発現が報告されている。この現象は薄膜においても有効であると考え、本研究では、1OOμC/cm^2もの巨大な自発分極量を有する非鉛強誘電体BiFeO_3を薄膜化し、その圧電特性を向上させるための材料設計の指針を明らかにすることを目的として、エピタキシャル歪を用いて結晶およびドメイン構造の制御を行った。成果としては、エピタキシャル歪を用いて71°ドメイン壁密度を増加させることによって、振動発電素子への応用における発電性能指数として、Pb(Zr,Ti)O_3薄膜で報告されている最大値(21.9GPa)に匹敵する20.9GPaを得ることができた。基板からの歪を緩和し、ドメイン壁の運動を促進させる従来の方法とは逆の材料設計がBiFeO_3薄膜において効果的であることを見出した。また、電場の印加によって数10^<-3>の非線形な逆圧電歪が得られたことから、印加する外場の違いに留意する必要があるが、同程度の歪場を印加することで非線形な巨大正圧電応答の発現が期待できる。以上の成果は、高いエネルギー変換効率を有する振動発電素子の実現に向けて新規に考案した強誘電体薄膜の材料設計の手法の有効性を示すものである。
平成24年度で廃止する課題である。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 52 ページ: 045803-1-045803-5
巻: 49 ページ: 09LB04-1-09LB04-5