研究課題
本研究課題は、星表面の磁場強度が地磁気の14桁も強いと考えられている超強磁場中性子星「マグネター」の観測的な研究である。特に、エックス線やガンマ線の波長帯域で観測することで、マグネター天体の持つ超強磁場中での特異な物理現象を実証しその放射起源に迫ることである。当該年度には、現在稼働中の「すざく」衛星によるマグネター天体の観測データの解析およびその結果を欧文研究報告雑誌 PASJ に投稿し受理された。また、より詳細な結果を博士論文としてまとめた。「すざく」衛星搭載の WAM 検出器は 2009 年 1 月に、マグネター天体 AXP 1E 1574.0-5408 から放射された突発的な増光現象「ショートバースト」の観測に成功した。私はこのデータを丁寧に解析するため、WAM 検出器の信号処理機器の動作を再現するモンテカルロシミュレーションコードの開発を行い、一つの解釈として量子電磁力学から超強磁場下で起こると予言されている「光子分裂」の観測的な示唆を得ることに成功した。また、いくつかのショートバーストの分光測定から、電子の静止エネルギー 511 keV 程度でエネルギースペクトルが折れ曲がることを明らかにした。この解析は、WAM 検出器の特性を十分に理解し、信号処理機器によるデータ処理時に発生するパイルアップ現象を正しく補正する必要があった。これは、WAM 検出器の開発・運用チームの一員である私にしかなし得ない成果であったと自負している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 67 ページ: 印刷中
10.1093/pasj/psv011