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2012 年度 実績報告書

水の窓単発ショット撮影を実現するためのスペクトル制御されたマイクロ光源の開発

研究課題

研究課題/領域番号 12J10265
研究機関宇都宮大学

研究代表者

大塚 崇光  宇都宮大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードレーザー生成プラズマ / 軟X線 / ビスマス / 疑似連続スペクトル
研究概要

本研究では高出力な水の窓光源を実現するため,疑似連続スペクトル(unresolved transition array : UTA)を有する原子番号の大きい元素をターゲットに用いたプラズマ光源の研究を行っている.今年度は研究目的の達成を目指し,以下の二点に重点を置き研究を実施した.
1.実験及び理論計算による水の窓領域にUTA発光をもつ元素の解明
Nd:YAGレーザーの基本波(1064nm)をSn, Gd, Tb, W, Au, Pb及びBiに集光照射しプラズマを生成した.プラズマからの発光を分光器により観測しUTAピーク波長を調べた。ピーク波長は原子番号が大きくなるに伴い短波長化し,Biが水の窓領域にUTAを持つことが明らかにされた.また,理論計算によりBiは電子温度約500eVで444ブ遷移による4.0nm及び4.2nm,約1keVで4p-4d遷移による3.2nmの発光を有することが明らかにされた.
2.高出力な水の窓光源を実現するために最適なBiプラズマ状態の解明
レーザー強度を変化させBiスペクトルを観測し,発光特性の解明を試みた.しかしながら本研究室の最大レーザー強度の約4×10^<14>W/cm^2においても理論計算で予測された3.2nmの強い発光は観測されなかった.同じレーザー強度によって観測されたCの発光スペクトルから算出した電子温度は790eVであり,このことからさらに大きなレーザー強度が必要であると考えられる,また,プレパルスをターゲットに照射し,予備加熱したプラズマに加熱用のメインパルスを照射する二重パルス照射実験を行った.発光が強くなる遅延時間は波長によって異なり,3.2nmの発光と4.0nm及び4.2nmの発光が最大となる時間は約10ns程度と異なることがわかった.二重パルス照射法とは間接的にプラズマの光学的厚みを変えた実験であるため,この結果は自己吸収の効果が影響していると考えられる.光学的厚みはτ?v=σ_vNLで表されるため,間接的にσ_vを評価するため吸収分光スペクトルの観測を行う必要がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

計画では今年度内に光源を実現する予定であったが,OPAによる波長変換において変換効率が向上せず原因を解明している段階である.加えてBiプラズマの自己吸収効果が強いことが明らかになり,光学的厚みを評価する実験を行うべきであると判断したため,申請時の計画した実験に加え吸収分光実験を行っているためやや遅れている.

今後の研究の推進方策

Biプラズマの4p-4d遷移による3.3nmの発光を観測し,高出力な光源を実現するためにはBiプラズマの光学的厚みを明らかにする必要がある.光学的厚みはτ_v=σ_vNLで表されるため,間接的にσ,を評価するため吸収分光スペクトルの観測を行う考えである.
また,電子温度が1keVに達成していないことから更に電子温度を高くする必要がある.プラズマの電子温度はT_eα(Iλ^2)^<3/5>であり,レーザー強度I及び波長λに依存する.高い電子温度を達成するため,比較的波長の長い炭酸ガスレーザー(10.6μm)の開発を進め照射実験を行う考えである.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Analysis of tungsten laser produced plasmas in the extreme ultraviolet (EUV) spectral region2012

    • 著者名/発表者名
      Colm S Harte
    • 雑誌名

      JOURNAL OF PHYSICS B : ATOMIC, MOLECULAR AND OPTICAL PHYSICS

      巻: 45 ページ: 205002-1-6

    • DOI

      10.1088/0953-4075/45/20/205002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] "Water window" sources : Selection based on the interplay of spectral properties and multilayer reflection bandwidth2012

    • 著者名/発表者名
      Bowen Li
    • 雑誌名

      APPLIED PHYSICS LETTERS

      巻: 102 ページ: 041117-1-4

    • DOI

      10.1063/1.4789982

    • 査読あり
  • [学会発表] 高原子番号物質を用いる極端紫外光源の研究2012

    • 著者名/発表者名
      大塚 崇光
    • 学会等名
      第73回応用物理学会学術講演会
    • 発表場所
      愛媛大, 松山大
    • 年月日
      2012-09-10
  • [学会発表] 次世代リソグラフィーのための Beyond EUV 光源2012

    • 著者名/発表者名
      大塚 崇光
    • 学会等名
      ワークショップ NGL 2012
    • 発表場所
      東京工業大学くらまえホール
    • 年月日
      2012-07-20

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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