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2012 年度 実績報告書

サイトカインによる魚類ヘルパーT細胞の分化誘導機構について

研究課題

研究課題/領域番号 12J10303
研究機関宮崎大学

研究代表者

是永 大樹  宮崎大学, 農学工学総合研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードフグ / CD4+T細胞 / Thサブセット / 細胞分取 / マルチプレックスRT-PCR
研究概要

1.抗トラフグCD4抗体を用いたCD4^+T(Th)細胞の分取
養殖魚であり、ゲノムデータベースも充実しているトラフグ(Takifugu rubripes)を対象に研究を行った。Th細胞の分取に用いた抗トラフグCD4抗体はトラフグCD4を発現させた動物細胞(CHO)およびトラフグ末梢血白血球のライセートを用いて特異性を確認した。末梢血白血球(PBLs)から純化したT細胞に対し、抗トラフグCD4抗体を用い磁気細胞分取法によってTh細胞の分取を試みた。分取した細胞の特性を解析するため、蛍光標識された2次抗体と反応させ、蛍光顕微鏡観察した結果、ほぼすべての細胞で蛍光が確認された。またFCM解析から95%以上の非常に高い純度でのTh細胞が確認された。さらに細胞マーカー遺伝子の発現解析からT細胞群の中でもCD4陽性の細胞が分取したことが確認された。
2.Th細胞の免疫刺激後の発現動態の解析
PBLsをグラム陰性菌(大腸菌)の細胞壁外膜の構成成分であるリポポリサッカライドド(LPS、疑似細菌感染)や合成二本鎖RNA(polyI:C,疑似ウイルス感染)またはT細胞マイトジェンであるコンカナバリンA(Con A)でin vitro刺激し、各刺激区から継時的にCD4細胞を分取した。さらに、本細胞におけるThサイトカイン遺伝子(Th1系:IL-2,IFN-γ,TNF-α,Th2系:IL-4/13A,IL-4/13B,Th17系:IL-17A/F3,Treg系:TGF-β1,IL-10)の発現を、Multiplex RT-PCRアッセイで解析した。その結果、LPSおよびpolyI:C刺激は、Th1,Th2,Th17およびTregのサイトカインの発現を増強し、Th2サイトカインの発現を減少させた。また、ConAは全サイトカイン遺伝子の発現を増強させた。しかしながら、各刺激におけるサイトカインの発現レベルは異なった。このことから、魚類のTh細胞も哺乳類と同様に、免疫(病原体)刺激に応じて異なるサイトカインを産生するサブセットが存在する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度での研究においては、免疫系の中止心的な役割を果たす細胞集団であるCD4^+T(Th)細胞を魚類において分取し、さらに細胞の特性を解析するため網羅的なサイトカインの発現を確認した。その結果、異なる免疫賦活剤でTh細胞を刺激すると、サイトカインの発現動態に違いが見られることが確認された。このことは、哺乳類と同様に魚類においてもThサブセットの存在を示唆するものである。これらの結果より、当初の計画が順調に進んでいると判断される。

今後の研究の推進方策

初年度である24年度では、Thサブセットがそれぞれ特異的に産生するサイトカインを遺伝子レベルで解析した。
今後の研究では、それぞれのサイトカインに対しての抗体を用いてタンパクレベルでの解析を行っていく。これらの研究によって魚類におけるThサブセットの分化機構をさらに明らかにすることを目指す。尚、現在までに抗サイトカイン抗体の特異性をウエスタンブロッティング等で確認している。また、解析に用いる細胞内サイトカイン染色のアッセイ系も確立している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Establishment of a multiplex RT-PCR assay for the rapid detection of fish cytokines2013

    • 著者名/発表者名
      Kono, T., Takayama, H., Nagamine, R., Korenaga, H., Sakai, M.
    • 雑誌名

      Veterinary Immunology and Immunopathology

      巻: 151 ページ: 90-101

    • DOI

      10.1016/j.vetimm.2012.10.012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characterization and expression analysis of Th-POK from the Japanese pufferfish, Takifagu rubripes2013

    • 著者名/発表者名
      Nagamine, R., Korenaga, H., Sakai, M., Secombes, C.J., Kono, T.
    • 雑誌名

      Comparative Biochemistry and Physiology - B Biochemistry and Molecular Biology

      巻: 164 ページ: 124-132

    • DOI

      10.1016/j.cbpb.2012.11.006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cytokine responses in the common carp, Cyprinus carpio L. treated with baker's yeast extract2012

    • 著者名/発表者名
      Biswas, G., Korenaga, H., Takayama, H., Kono, T., Shimokawa, H., Sakai, M.
    • 雑誌名

      Aquaculture

      巻: 356-357 ページ: 169-175

    • DOI

      10.1016/j.aquaculture.2012.05.019

    • 査読あり
  • [学会発表] Characterization of interleukin-17 signaling molecules in teleost2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Korenaga, Tomoya Kono, Masahiro Sakai
    • 学会等名
      Cytokine 2012, 10th Joint Annual Meeting
    • 発表場所
      Geneva, Switzerland
    • 年月日
      20120911-20120915
  • [学会発表] Identification, characterization and expression analysis of IL-17 receptors, Actl and TRAF6 genes in Japanese pufferfish (Takifugu rubripes)2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Korenaga, Tomoya Kono, Masahiro Sakai
    • 学会等名
      The 12th Congress of ISDCI
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20120709-20120713

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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