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2013 年度 実績報告書

運動時の脳グリコゲン代謝を支える分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 12J10359
研究機関新潟医療福祉大学

研究代表者

松井 崇  新潟医療福祉大学, 健康科学部, 特別研究員(SPD)

キーワード運動 / 脳グリコゲン / 海馬 / 乳酸 / ドーパミン / ドーパミンD2受容体 / アストロサイト / 神経活動
研究概要

私はこれまで、ドーパミンが哺乳類においてアストロサイトのグリコゲン分解を促進することを明らかにした。したがって、運動時の海馬グリコゲン利用にドーパミンが関与する可能性が非常に高いものの、2種類のドーパミン受容体(D1様受容体 : D1、D5受容体、D2様受容体 : D2、D3、D4受容体)のうち、どの受容体を介すのかは不明のままである。そこで本実験では、ドーパミンD1・D2受容体それぞれの拮抗薬を海馬に投与することで、運動時の海馬グリコゲン分解は海馬のグリコゲンを減少させるかどうかを検証した。海馬にカテーテルを留置したラットに、更に、ストレスのない静脈投与と採血を可能とするために外頸静脈にカテーテルを留置し、生食投与+安静、生食投与+運動、D1様受容体拮抗薬投与+運動、D2様受容体拮抗薬+運動群の4群に分け、30分間の低強度(分速10m)のトレッドミル運動を課した。脳はマイクロ波照射によるラットの屠殺後、5部位(皮質、海馬、視床下部、小脳、脳幹)に分け、グリコゲンを定量した。ドーパミンD2様受容体の阻害は低強度運動時の海馬グリコゲン分解を完全に阻害したが、D1様受容体の阻害は全く効果を示さなかった。ドーパミンD2様受容体の阻害が低強度運動時の海馬グリコゲン利用を完全に抑制したことから、運動時の海馬グリコゲン利用はドーパミンD2様受容体を介して生じることが示された。これは、運動による海馬機能(記憶学習)の向上の新たなメカニズムを示唆する。しかしながら、ドーパミン作動性の海馬グリコゲン分解は3種類のドーパミンD2様受容体(D2、D3、D4)のうち、どの受容体を介すのか? 、リガンドである海馬のドーパミンはどのドーパミン神経から供給されるのか? については不明のままである。来年度は、これらについて検証する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画通り、運動による脳グリコゲン分解がドーパミンにより制御されることを明らかにする事ができた。さらに、最終年度に行う予定であった実験も行い、上記の効果はドーパミンD2様受容体を介すことを明らかにする事ができた。これらのことから、当初の計画以上に研究が進展したと言える。

今後の研究の推進方策

今後は、ドーパミン作動性の海馬グリコゲン分解は3種類のドーパミンD2様受容体(D2、D3、D4)のうち、どの受容体を介すのか? 、リガンドである海馬のドーパミンはどのドーパミン神経から供給されるのか? について検討する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 運動が高める海馬の神経新生とグリコゲン量-認知機能を高める低強度運動の効果2013

    • 著者名/発表者名
      島 孟留、松井 崇、岡本正洋、征矢英昭
    • 雑誌名

      医学の歩み

      巻: 244 ページ: 995-1003

  • [学会発表] 運動強度依存的な海馬グリコゲンの減少 : ドーパミンの関与2013

    • 著者名/発表者名
      松井 崇、征矢晋吾、川中健太郎、征矢英昭
    • 学会等名
      第68回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      日本教育会館(東京都千代田区)
    • 年月日
      20130921-23
    • 招待講演
  • [学会発表] 脳グリコゲン利用の阻害がもたらす持久性パフォーマンスの低下2013

    • 著者名/発表者名
      大室秀樹、松井 崇、征矢英昭
    • 学会等名
      第68回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      日本教育会館(東京都千代田区)
    • 年月日
      20130921-23
  • [学会発表] グリコゲン・ローディングは海馬グリコゲンの超回復を促す2013

    • 著者名/発表者名
      征矢茉莉子、松井 崇、島 孟留、征矢英昭
    • 学会等名
      第68回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      日本教育会館(東京都千代田区)
    • 年月日
      20130921-23
  • [学会発表] 習慣的な運動で高める2型糖尿病ラットの認知機能と海馬グリコゲン量2013

    • 著者名/発表者名
      島 孟留、松井 崇、征矢英昭
    • 学会等名
      第68回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      日本教育会館(東京都千代田区)
    • 年月日
      20130921-23
  • [学会発表] Hippocampal Glycogen Dynamics with Acute Moderate Exercise in Type 2 Diabetic Rats2013

    • 著者名/発表者名
      Takeru Shima, Takashi Matsui, Hideaki Soya
    • 学会等名
      American College of Sports Medicine
    • 発表場所
      Indiana convention center (インディアナ州、米国)
    • 年月日
      20130528-0601
  • [図書] Chapter 15 : Brain glycogen decrease and supercompensation with prolonged exhaustive exercise. Social Neuroscience and Public Health : Foundation of the Emerging Discipline2013

    • 著者名/発表者名
      Matsui T and Soya H
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      Springer Publishers

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公開日: 2015-07-15  

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