研究課題
EGFR (epidermal growth factor receptor)は細胞の増殖シグナル等を受容するチロシンリシ酸化酵素受容体である。細胞外のEGFの濃度が高まると過度なシグナル伝達の抑制のため、EGFRはエンドサイトーシスされ、リソソーム分解に供される。過去の報告ではESCRT構成因子のTSG101などの発現抑制により、EGFRの下方制御が抑制されることが明らかになっている。そこでESCRTタンパク質と結合するcalpain-7のEGFRの下方制御に対する影響を検討したところ、calpain-7ノックアウト細胞ではコントロール細胞と比較して顕著にEGFRの分解が遅延した。mGFP融合calpain-7を利用した細胞内局在解析において、野生型mGFP-calpain-7と比較して不活性型のmGFP-calpain-7^<C290S>がEGFR陽性エンドソームにより集積することが明らかとなった。calpain-7のMITドメイン欠損変異体はEGFR陽性エンドソームへの局在を失うことからcalpain-7のEGFRの下方制御における機能はESCRTタンパク質が重要であることが明らかになった。またcalpain-7と強く結合するESCRT-III【関連因子IST1とmGFP-calpain-7^<C290S>がEGFR陽性エンドドームに局在することを明らかにした。このIST1のEGF刺激に応じたEGFR陽性エンドソームへの局在は本研究によって初めて明らかになった。またIST1発現抑制時の、mGFP-calpain-7^<C290S>の局在を観察したところ、EGFR陽性エンドソームへの集積が著しく抑制された。このことからEGF刺激に伴うcalpain-7の局在変化にISTIが重要であることが示唆された。
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FEBS Journal
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