研究課題/領域番号 |
12J10377
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大場 陽介 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
キーワード | ミトコンドリア / リゾリン脂質 / 線虫 |
研究概要 |
私は昨年度、既知のミトコンドリア融合因子、制御因子についてMt-GPATと相互作用を、培養細胞系での共免疫沈降実験によって検討し、これまでにミトコンドリア融合の実行因子と考えられているMitofusinとの結合を確認していた。そこで本年度は、特にMitofusinに着目し、Mt-GPAT、LPAとの関連性についてHeLa細胞、in vitroの系などで検討を進めた。Mikofusinによるミトコンドリアの融合は、Mitofusinの発現量と活性に依存して変化すると考えられている。そこで、HeLa細胞を用い、Mt-GPATがMilofusinの発現量に影響を与えるか検討した。HeLa細胞に対してMt-GPATを発現抑制してもMitotusinの発現量に変化は見られなかった。このことから、Mt-GPAT/LPAはMitofusinの発現量を制御している訳ではないと分かった。そこで、次にMitofusinの活性に着目することにした。Mitofusinの活性化機構として、MitofusinのGTP依存的なオリゴマー化が知られている。そこで、細胞よりミトコンドリアを単離し、in vitroでMitofusinのオリゴマー形成、解離を行う系を構築し、LPAの作用を検討した。in vitroでGTP依存的にオリゴマーを形成し、それ検出する系を構築できたが、系にLPAを添加してもオリゴマー形成を促進、またはオリゴマーの解離を抑制することはなかった。また、コントロール細胞とMt-GPAT発現抑制細胞由来のミトコンドリア間でin vitroでのオリゴマー形成、解離の効率に変化は見られなかった。次にMitofusinのGTPase活性に着目した。これまでにMitofusinのGTPase活性がミトコンドリアの融合に必要であることが知られている。そこで、大腸菌よりリコンビナントMitofusinを精製し、in vitroでMitofusinのGTPase活性を測定する系を構築した。時間依存的にGTPの加水分解をモニターする系の構築に成功し、LPAがGTPase活性に与える影響を検討した。その結果、系へのLPAの添加によりMitofusinのGTPase活性が上昇することを見出した。一方、別のリゾリン脂質であるリゾボスファチジルコリンの添加ではLPAのような効果が認められなかった。このことから、LPAに特異的な効果であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LPAのターゲット分子候補として見出していた、Mitofusinに対するLPAの効果が検出できたことから、研究目標である、LPAによるミトコンドリア形態維持機構の解明に大きく一歩近づいたため。
|
今後の研究の推進方策 |
現在は、LPAがどよのうにMitofusinの活性を制御しているかを明らかにしたいと考えている。そこで, LPAの作用するMitofuain内の領域の決定、MitofusinとLPAの結合の可能性、LPAのMItofusinに対する作用メカニズムについて生化学的、構造生物学的解析を進めている。
|