研究概要 |
目的A.Niアレルギー発症に関与する免疫関与細胞の解析 現在、金属アレルギーは他の接触過敏症と同様に、T細胞主役の疾患と考えられている。Ni(+Lps)アレルギーマウスモデルは、T細胞欠損マウスにおいてもアレルギーが発症するため、T細胞以外の関与細胞が考えられる。今年度は、フローサイトメトリーおよび組織を用いて検討した。Ni感作マウスにおいては、Ni非感作マウスと比較して、好塩基球、NK細胞、NKT細胞、肥満細胞など各種炎症細胞の浸潤が認められた。組織においては、Ni感作マウスは、Ni非感作マウスと比較して、血管拡張、浮腫、炎症性細胞浸潤像が観察された。これより、T細胞以外の多くの細胞の関与が想定される。 目的B.レジンモノマー(RM)による金属アレルギー促進効果の検証 アクリルレジンは工業的応用のみならず、医薬品、ジェルネイルによる爪化粧など広く応用されている。これらレジンの応用に伴い、レジンが原因と思われる接触過敏症が報告されるようになった。しかしRMは、細胞刺激性は強いが、アレルゲンとしての強さは良く知られている接触過敏症のハプテンとにくらべると極めて弱い。いままで、RMが、Ni-allergyを促進することがわかっており、今回は、一般的なハプテンおよびRMのアレルギー発症の関与時期について検討した。RMは、Ni-allergyを感作相、惹起相のどちらにおいても促進する。一般的な接触性皮膚炎を引き起こすハプテンであるFITC,Oxazoloneにおいても炎症を促進する。また、RMの促進効果の要因の1つとして、樹状細胞の活性化、および所属リンパ節への移動能を上昇することがわかった。これらより、RMは、様々なアレルギーに関与していることが想定される。
|