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2013 年度 実績報告書

湾曲型コラニュレン分子の構造修飾による新規金属錯体の合成と機能創出

研究課題

研究課題/領域番号 12J10461
研究機関大阪大学

研究代表者

山田 美穂子  大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード湾曲型芳香族化合物 / 電荷移動錯体 / 光誘起電子移動反応 / 電荷分離状態 / リチウムイオン内包フラーレン / スカンジウムイオン / 錯体化学 / 光化学
研究概要

湾曲型芳香族化合物であるコラニュレンは歪んだ芳香環曲面を有するため、平面芳香族化合物とは異なる性質や機能の発現が期待できる。本年度はコラニュレン分子による機能創出を目指し、その電子移動反応について研究を行った。
まず、報告例のない曲面間の分子内電子移動反応を目指した。コラニュレンの芳香環曲面は、球状のフラーレンC_<60>の認識に適していると考えられてきた。一方、C_<60>外部骨格を有するリチウムイオン内包フラーレン(Li^+@C_<60>)は、C_<60>よりも優れた電子受容性を示す。そこで、コラニュレンの曲面を利用してLi^+@C_<60>との錯体形成を試みたところ、基底状態で比較的安定な電荷移動錯体を形成することを見出した。さらに、Li^+@C_<60>を光励起すると、励起状態でコラニュレンと超分子錯体を形成し、分子内電子移動反応により三重項電荷分離状態を生じた。電荷再結合過程も分子内逆電子移動過程であり、得られた電荷分離状態の寿命は240μsと長寿命であることが分かった。
また、近年、種々の電子移動反応においてルイス酸により反応性を制御できることが報告されている。コラニュレンと1,2,4-トリメチルベンゼンの溶液に光照射を行ったところ、ナノ秒時間分解分光法によりラジカルイオンペアが観測され、これらの分子の間で光誘起電子移動反応が生じることが明らかとなった。スカンジウムイオンを加えて同様の反応を行ったところ反応が促進された。一方、コラニュレンラジカルアニオンとスカンジウムイオンを反応させると、錯体の形成がEPRにより観測された。これらの結果から、コラニュレンラジカルアニオンにスカンジウムイオンが結合することにより反応が促進されることを見出した。
以上の結果は、これまでに例のない芳香環曲面間の分子内電子移動反応を明らかにすると共に、芳香環曲面と芳香環平面の間の電子移動反応の反応性を制御する手法を示した点で興味深いものである。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Fluorinated and Trifluoromethylated Corannulenes2013

    • 著者名/発表者名
      Bernd M. Schmidt, Berit Topolinski, Mihoko Yamada, Shuhei Higashibayashi, Mitsuhiko Shionoya, Hidehiro Sakurai, Dieter Lentz
    • 雑誌名

      Chemistry A European Journal

      巻: 19 ページ: 13872-13880

    • DOI

      10.1002/chem.201301910

    • 査読あり
  • [学会発表] コラニュレンとリチウムイオン内包フラーレンによる超分子錯体形成と分子内光誘起電子移動反応2014

    • 著者名/発表者名
      山田美穂子、大久保敬、塩谷光彦、福住俊一
    • 学会等名
      日本化学会第94春季年会
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県)
    • 年月日
      2014-03-29
  • [学会発表] スカンジウムイオンとの錯体形成と共役した湾曲型コラニュレンの電子移動還元反応2013

    • 著者名/発表者名
      山田美穂子、大久保敬、塩谷光彦、福住俊一
    • 学会等名
      錯体化学第63回討論会
    • 発表場所
      琉球大学(沖縄県)
    • 年月日
      2013-11-03
  • [学会発表] 湾曲型コラニュレンとリチウムイオン内包フラーレンによる超分子内光誘起電子移動反応2013

    • 著者名/発表者名
      山田美穂子、大久保敬、塩谷光彦、福住俊一
    • 学会等名
      2013年光化学討論会
    • 発表場所
      愛媛大学(愛媛県)
    • 年月日
      2013-09-13
  • [学会発表] コラニュレンとリチウムイオン内包フラーレンによる光誘起電子移動反応2013

    • 著者名/発表者名
      山田美穂子、大久保敬、塩谷光彦、福住俊一
    • 学会等名
      第34回光化学若手の会
    • 発表場所
      神戸セミナーハウス(兵庫県)
    • 年月日
      2013-06-28
  • [学会発表] Construction and self-assembly behaviours of cyclopalladated 2-pyridylco rannulene with curved n-surface2013

    • 著者名/発表者名
      山田美穂子、田代省平、三宅亮介、塩谷光彦
    • 学会等名
      International Symposium on Advancing the Chemical Science 10
    • 発表場所
      京都大学(京都府)
    • 年月日
      2013-06-18

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公開日: 2015-07-15  

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